KAT-TUN、中堅の底力見せたアルバム『Fantasia』がチャート首位に 無国籍感と歌謡の絶妙なバランス

 無国籍でクセがない。それって味気がないのでは。そんな声を覆すのが後半の展開。昨年配信されたシングル「ゼロからイチへ」がとんでもなくいい味を出しています。作詞作曲はいきものがかり・水野良樹。日本テレビ系プロ野球中継『DRAMATIC BASEBALL 2022』第二弾イメージソングおよび『Going! Sports&News』(日本テレビ系)テーマソングで、スポーツの熱さや疾走感がダイナミックに表現されています。

KAT-TUN - ゼロからイチヘ [Official Music Video (YouTube ver.)]

 そして、この曲をさらに魅力的にするのが「ちょいラテン」のフレーバー。本場のラテンミュージックとは違うけれど、歌謡曲と折衷させると妙にギラギラ効果を発揮するラテンっぽさ。これ、長年ジャニーズに受け継がれてきた武器のひとつだと思っています。

 古くは近藤真彦「アンダルシアに憧れて」。NEWSの「チャンカパーナ」。亀梨ワークで言えば修二と彰の「青春アミーゴ」などなど。ばっちり歌謡曲なのに妙な異国情緒があって、恐ろしいほどの中毒性を備えた楽曲。ジャニーズの歴史に刻まれてきたエキゾチック歌謡(と強引に名付けます)が、スタイリッシュな今のKAT-TUNの武器として絶大な効果を発揮している。いかにも現代的なオープニング曲「DIRTY LUV」と、後半の熱唱ソング「ELIZA」「Kissing your hurts」がシームレスに繋がって聴こえるのはこの曲があるからでしょう。いや、流れの作り方が上手い。そしてこの「ゼロからイチへ」を嫌いになれる人っているのでしょうか。オシャレでクールなトラックが揃うアルバムなので、水野良樹の個の強さ、歌謡であることの強さを改めて痛感します。

 若手を中心に「K-POPトレンドに肉薄するか」「キラキラの王道を守るか」が課題になっているように見える現在のボーイズグループ。しかし、KAT-TUNのこのサウンド、ありそうでなかったものだと思います。トレンドやカッコ良さも大事だし、ハーモニーや歌謡の心もしっかり受け継いでいく。中堅の実力、見せてもらいました。

※1:https://www.oricon.co.jp/news/2268607/full/

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