アニメ『大雪海のカイナ』OP&EDのポイントは? ヨルシカとGReeeeN、それぞれの立場から彩る作品世界

 そして歌詞の内容は、アニメで描かれている主人公・カイナの隠された孤独や好奇心、勇敢さともリンクしており、カイナがどういうキャラクターなのかを理解する一助となる。リスナーに対するメッセージでありながら、主人公の冒険を後押しするような歌詞は、作品と楽曲と視聴者の気持ちを結びつける強さがある。不穏な描写や先の見えない複雑な展開が続く中で、まさに〈燦然なシリウス〉のように、希望を持って作品を観ることができる、エンディングにふさわしい一曲と言えるだろう。

 「テレパス」からは作品の持つ温度や空気を味わいながら、自らの心の動きとシンクロさせていくことができ、「ジュブナイル」を媒介に作品の持つメッセージ性の一端を感じ取ることができる。

 一般的にはヨルシカは陰、GReeeeNは陽の感情を描いているという印象が強いかもしれない。しかし、実はGReeeeNには「ジュブナイル」のように孤独や人間のネガティブな部分にフォーカスを当てた楽曲も少なくない。そして何より、“顔出し”をせず音楽や歌の力に重きを置いて活動している点や、ドラマ作品などを彩る楽曲を得意とする点、そしてあらゆる人の感情と並走しそれぞれの哲学を伝え続けている点は2組に共通している。実際SNSでも両アーティストのファンだという声も見受けられた。今回の「テレパス」と「ジュブナイル」は、「天膜」「海雪」と分かれた世界で育った二人を対照的に描いているように、『大雪海のカイナ』という作品を通し、新たな視点を与えてくれる、アニメにおける主題歌の存在意義を強く感じる2つの楽曲である。今後物語が進んだ先でも、また新しい表情を見せてくれるだろう。

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