南條愛乃、“キャラソン”セルフカバーで振り返る声優としての歴史 八木沼悟志によるミルキィホームズ「ココロノエデン」編曲秘話も

 今年ソロアーティストデビュー10周年という節目を迎えた南條愛乃が、12月21日にリリースしたばかりのニューアルバム『ジャーニーズ・トランク』は、彼女の過去と未来をつなぐ重要な作品であり、その意欲的な内容に関しては先に公開された彼女のインタビュー(※1)でたっぷり解説されている。

 そのインタビュー内では触れなかったが、このアルバムにはもうひとつ挑戦的な試みが用意されていた。それが、南條がこれまでに演じてきたアニメ/ゲームキャラクターが歌う“キャラクターソング”を“南條愛乃”としてセルフカバーしたボーナスディスクだ。

【南條愛乃】5th ALBUM「ジャーニーズ・トランク」試聴クロスフェード

 南條はこれまでにも、J-POPカバーを録り下ろした特典ディスクをフルアルバムに同梱することが多々あった。前作『A Tiny Winter Story』でも冬にちなんだJ-POPナンバーを彼女流にカバーしており、好評を博したばかりだ。

 このタイミングに自身が歌ってきたキャラソンをセルフカバーした理由を尋ねてみると、南條は「ソロワークの10年ではあるけど、そこに含まれるキャラソンをカバーしてみるのもいいのではないか?とプロデューサーの西村(潤)さんから提案されて。なるほど、面白そうだなと思ってチャレンジしてみました」と答える。その上で、「過去にライブでセルフカバーしたこともあったんですが、今回は自分的に演じて興味深かったキャラクターの曲、お客さん的にも大きな思い出があるかなという曲を中心に選びました」と語る。

 今回南條が選んだのは、今年放送10周年を迎えたばかりの『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズから「鏖鋸・シュルシャガナ」と「ENSE OF DISTANCE」、今でも根強い人気を持つ『ラブライブ!』から「冬がくれた予感」、PCゲーム『シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち』から「Lost Heaven」、そして『探偵オペラ ミルキィホームズ』から「ココロノエデン」の5曲。月読調(『シンフォギア』シリーズ)、絢瀬絵里(『ラブライブ!』)、リィズ・ホーエンシュタイン(『シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち』)、明智小衣(『探偵オペラ ミルキィホームズ』)と、それぞれ彼女が強い思い入れを持つキャラクターであると同時に、ファンからも高い支持を獲得してきた作品/キャラクターばかりだ。

 アレンジこそ“南條サウンド”に味付けされているものの、それらのキャラソンをそのキャラクターとして再び歌うのではなく、南條愛乃として表現することが肝となる。彼女は「もっとアレンジをガラッと変えていたら、別モノとして認識できていたかもしれないですけど、原曲の影が残っているのでキャラクターの顔が浮かんできて、自然と声がそっちに寄っていってしまうんです」と予想外に苦戦したことを吐露。その一方で、「『シンフォギア』の曲を歌っていれば調ちゃんの顔が浮かんできて、一緒に切ちゃん(暁切歌)の顔も浮かんでくるし、切ちゃんを演じるかやのん(茅野愛衣)の声も聞こえてくる。『冬がくれた予感』はもともと3人組のBiBiとして歌っている曲だから、(矢澤にこ役の)徳井青空ちゃんや(西木野真姫役の)Pileちゃんの声が被って聞こえてくるんです。そういうところでは懐かしさを感じながら、楽しく歌うことができました」とも語る。

 キャラクターが自然と浮かんでくるからこそ、アレンジに対しても慎重になる。そのもっともたる例が「Lost Heaven」だった。「実は最初のアレンジはちょっと明るめだったんですけど、リィズの壮絶すぎる人生とはちょっと違うなと思って。それでレコーディングスタッフさんに向けて『リィズは拷問を受けたりとか自分を押し殺して頑張ってきた子なんだよ』って話をして、改めてこの歌に合うようにアレンジし直してもらいました。自分の中でもリィズという存在は根深くて、キャラクターとして割り切れないぐらい感情移入している、同調している子なんだなと改めて感じたりもしました」

 そして、本作においてもっとも注目を集めたのが「ココロノエデン」だろう。原曲が発表された2011年時点で、明智小衣役を演じる南條が当時在籍していたfripSideをオマージュした楽曲として知られていたが、そこから11年を経た2022年にこの曲を南條愛乃としてセルフカバーする際に、なんとfripSideの八木沼悟志がアレンジを担当することになったのだ。

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