連載「lit!」第28回:才歌、椎乃味醂、鬱P、¿?shimon……次に来る! 世界水準のサウンドを鳴らすダークなボカロ曲

鬱P「ララララフレシア」

Utsu-P - ララララフレシア / RRRRafflesia  feat. 初音ミク

 1曲に様々な音楽ジャンルを取り入れるK-POPのように、アラビアの民族音楽、ロック、パンク、ハードコア等を多用することで、カメレオンのような表情を見せる「ララララフレシア」。花言葉が“夢現(ゆめうつつ)”のラフレシアのことを歌っており、上述した「私のせいじゃない」と同様に、神秘的な世界へと聴き手を誘導する。ボカロP・なきその「ド屑」など、MVの主人公となる少女が高圧的な態度を取りがちな昨今のボーカロイド曲と共通しているのが、ラフレシアと関連するMVの少女が2番で吐き捨てる〈それが出来りゃ苦労は無え〉という暴言のようなリリック。世界の最新トレンドを汲んだ実験的要素の強いサウンドはドープだ。

¿?shimon「ルシファー」

ルシファー /¿? 自分で歌いました。(self cover)

 7月29日に投稿されたボーカロイドの原曲とは大きく印象が異なるセルフカバーバージョン。重低音の効いた2番からは、ラップのリリックに変更され、奈落の底に突き落とされるようなスリル感が待っている。喚き声やチャーチの鐘といったSEに加えて、¿?shimonならではのダイナミックに跳ねる音像。まさに興奮と恍惚へ導く脳内麻薬のようなマッシブな1曲と言える。ヒップホップ、R&Bが似合うと同時に、繊細なニュアンスまで再現するエモーショナルなボーカルで聴き手の心をとらえる。自身の魅せ方をわかっているシンガーとしても、非常に期待値の高いボカロPだ。

 AメロとBメロといったメロディフレーズから逸脱したエキセントリックな展開を繰り広げたり、様々なジャンルを組み合わせるなど、心奥を操るダークで魅力的なボーカロイド曲が日々誕生している昨今。ボーカロイド曲は昔から実験的なジャンルとして存在していた。そして今も、世界の最新トレンドを吸収しながら成長しているのは、上記の4曲を一聴すれば明瞭だろう。

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