米津玄師、ケンドリック・ラマー、Ado……“一人の人間力で魅せる”ことがポップスターのライブの主流に?
国内シーンに視線を戻すと、“演者一人の人間力で魅せる”という意味では、8月11日に行われたAdoのさいたまスーパーアリーナ公演『Ado 2nd ライブ「カムパネルラ」 』にもかなりの鮮烈さがあった。最初の4曲は生バンドによる演奏がなく、Adoの歌唱や立ち振る舞いのみ(しかも本人は紗幕の内側にいるため、客席からはシルエットしか見えない)で2万人の観客を魅了したのだ。ただし、Adoはもともと歌い手文化から出てきたシンガーであり、このようなパフォーマンスに至った文脈は、米津やケンドリック・ラマーらとは異なるが。
また、こういったパフォーマンスを取り入れているのはソロアーティストのみとは限らない。THE ORAL CIGARETTESのライブはメンバー4人が鳴らす熱量高いバンドサウンドが主役だが、2022年2~4月に開催した全国ツアー『Hall Tour 2022「SUCK MY WORLD」』では、アルバム『SUCK MY WORLD』の中でも特に現代的なサウンドメイキングが施された楽曲「From Dusk Till Dawn」を山中拓也(Vo/Gt)の歌+同期形式で披露。バンドレスの楽曲をアクセント的にライブに取り入れることで、印象的なシーンを作ることに成功した。
国内でも国外でも、こういったアプローチは今後さらに増えていくかもしれない。
※1 https://realsound.jp/2022/06/post-1042247.html