ZIPANG OPERA、1周年迎えた4人のさらなる挑戦意欲 絶妙なバランスだからこそ成り立つ楽曲制作を語る
ZIPANG OPERAがデビュー1周年となる11月3日にデジタルシングル『KAMINARI FLAVOR / Like a Wolf』をデジタルリリースした。それぞれが舞台やミュージカル、振付や作詞など、マルチな才能を持つ4人が集まった彼らは、東京国際フォーラム ホールCでの初公演に続き、2度目のパフォーマンスを『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2022』のオープニングアクトとして東京ドームで果たすなど、スタートダッシュからギアを下げることなく走り続けている。
新たに発表した2曲は力強く新鮮な「和×トラップ」なビート、ソロ曲以外では初となる本格的なバラードだ。9カ月ぶりのリリースとなった「STEER THE SHIP」から2カ月あまりと立て続けのリリースで、いよいよアーティスト活動の本格化となるか。期待の高まる新作について、佐藤流司、福澤 侑、心之介、spiに話を聞いた。(小池直也)
「全員がおいしくなるような形を心がける」(福澤)
ーー8月にリリースされた「STEER THE SHIP」は、9月のLINE MUSIC 月間総合ランキングTOP100入りするなど、広く聴かれているようですね。改めて振り返っていかがですか。
福澤 侑(以下、福澤):久しぶりの新曲でしたし、たくさんの方に聴いてもらえた実感があります。嬉しいメッセージもたくさんいただきました。
心之介:挑戦的な歌詞でしたが、それが多くの方に刺さったようで嬉しかったです。サブスクで再生数が見えるのが新鮮で。
佐藤流司(以下、佐藤):7,000回くらい再生している方がいたのは驚きました(笑)。俺自身プライべートで聴くくらい楽曲がいいし、メンバーも魅力的だし、反応が良いのは嬉しいですね。
spi:僕は3人の援護射撃的な役回りに徹しましたが、良い結果が得られたなと思います。
ーーそれから先日は東京ドームで行われた『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2022』ではオープニングアクトとしてステージに立たれました。残念ながらspiさんは新型コロナウイルス感染のため欠場となってしまいましたが、こちらについてはいかがでした?
佐藤:日本で最大規模くらいの観客の前でライブできるのは光栄でした。その時は3人だったのでまだ完全体ではありませんが、多くの方々に魅力を伝えられたのは良かったなと。それにしても初陣が東京国際フォーラム、次は東京ドームって意味がわからなさすぎて、今後が不安な勢いです(笑)。
心之介:お客さんの顔が認識できない広さでのライブは初めてだったので、貴重な経験でした。特に音響がライブハウスとは全然違うなと感じたのを覚えています。
福澤:とにかくデカかったですね。あまり汗をかかないタイプなのですが、汗だくになりました。spiくんがいなかったので、あえてダンスは出し惜しみして歌を聴かせるコンセプトでいきました。
佐藤:あの侑の選択は正解だったね。ステージが思いのほか狭かったし。
福澤:4人が揃った時に本当のパフォーマンスになるはずですよ。
spi:映像で観ましたが、3人だけでバランスが取れていて「俺いらねえじゃん」と思いました(笑)。次こそは自分も参加できれば。
福澤:ステージよりも開幕宣言の方が緊張しましたよ。spiくんがいないから、繰り下げで僕にその役が回ってきて(笑)。
心之介:あれは侑くんしかできなかったですよ。
ーースタジオでのリハーサル風景は、SNSでも上がっていましたね。
福澤:基本はアーティストプロデューサーの(植木)豪さんが立ち会ってくれて、全体のディレクションをしてくれますが、立ち位置や見せ方などのステージングについては僕がアイデアを出すことが多いです。ダンサー目線というよりも、全員がおいしくなるような形を心がけますね。やはり楽曲に歌を乗せてから生まれる各自のカラーがあるんですよ。作り手には、段取りを意識する人と、現場のインスピレーションで作る人とがいますが、僕は後者。実際にみんなが歌っている姿を見て、良い瞬間のパズルを組み合わせていくのが好きです。
「ようやくZIPANG OPERAとしての自分の声を見つけ始めた感覚がある」(spi)
ーーなるほど。そしてデビュー1周年と新曲リリースを迎えましたが、まずは「KAMINARI FLAVOR」の制作についてから、お話を聞かせてください。
佐藤:我々4人に刺さりまくった楽曲ですね。カッコよすぎてグループLINEがざわつきました(笑)。
福澤:ドヤ顔で披露できそうです。疾走感もありますし、これを引っさげて早くライブしたいですね。あとサビ終わりの〈KAMINARI FLAVOR〉と〈ビリビリ〉がキャッチーで印象的でした。
心之介:サビの〈KAMINARI FLAVOR〉というワードセンスはピカイチですね。ライブではコール&レスポンスにできそう。
spi:僕も語感が好きでした。お菓子の「ブラックサンダー」はありますが、「雷味」なんて音楽で聴いたことがない。パチパチわた飴やテキーラみたいな感じの刺激になるのかなと。海外の人にとってもキャッチーだと思います。
心之介:聴きながら夜道を歩くと強くなった気がします。自分を鼓舞したい時にエナジードリンクだと思って聴くといいかも。
ーー細かくて緻密な歌割りも特徴だと感じました。こちらについては?
福澤:入り乱れる曲を作りたくて、メンバー間で「こういう風にしたらどうか」「もっとこうしたらいいよね」などアイデアを出し合ってから、豪さんをはじめとした音楽チームが歌割りを構築してくれたんです。このマイクリレーはライブでも見せどころになるかと。
佐藤:それぞれの色を汲み取ってもらって、気持ちいいパートを割り振ってもらったなという印象です。
心之介:どのパートも主人公感が強かったので、どれが来ても負けないように歌うぞという気持ちでしたね(笑)。
spi:僕は1stアルバム『ZERO』での模索から始まって、本作でようやくZIPANG OPERAとしての自分の声を見つけ始めた感覚があります。カッコよさだったら流司、パワーだったら侑くん、儚さだったら心(之介)、「よくわからないもの」はspiみたいな(笑)。でも、それでいいと思うんですよ。自分の声はどうにでも対応できるし、魔力だと信じているので。
ーー「和×トラップ」という楽曲コンセプトですが、決定的な日本らしさがない気もします。この点についてはどうお考えですか?
心之介:楽曲がカッコよすぎて「こういうZIPANG OPERAもアリなんじゃね?」とは思っています。自分が制作したら、この楽曲展開にならなかったはずなので、色々な要素で僕らも進化していければ。
佐藤:日本語に当てはめてしまえば、どんな曲も「和」とも言えますよね。タイトルも和洋折衷な感じですし。
spi:日本らしさの特徴って何と言っても「魔改造」だと思うんです。色々な国の要素やオリジナルを崩して違うものにするのが得意。なので色々なテイストがミックスされている点が「和」の要素だと感じました。
ーーレコーディングについてのエピソードなどもお願いします。
佐藤:俺は最初の方に録音したのですが、後から聴いた3人の声が荒ぶりに荒ぶっていて。それで悔しくて録り直しをお願いしました(笑)。だから全員分の気合が入っているはずです。
spi:僕は迷いなく歌えましたね。この曲に限らずですが、歌詞のメッセージを気にしつつ、聴いている人がどういうテンションでサビに入れるかなどを意識して歌っています。
福澤:ラップ部分は、自分のカラーを出しつつ頑張りました。
心之介:個人的に苦戦したのは、サビのオクターブ下のハモり。思っていたよりも低くて、ピッチを取るのが大変だった思い出があります。
佐藤:あとは〈指先まで Electric〉の部分で重ねた自分の4声ハモりのビリビリした感じが気に入っています。ハモりは自分の脳に響く感じで好きですね。