ナナホシ管弦楽団、兎田ぺこらや猫又おかゆらへの楽曲提供での発見 「VTuber界隈は寿司屋でパスタを出すことが成立する」

(夜空メルの)「魔界の天才ヴァンパイア」は本当なんだなと思いました

【3D LIVE】Twinkle Starry Night🌟【#夜空メル4周年LIVE】

ーー続いて今年5月、ホロライブ1期生の夜空メルさんに「キャラメル・デビル」を提供されました。こちらも「いいわけバニー」と同路線のセリフ入りの楽曲ですね。

ナナホシ:この楽曲もメルさんから直接ご相談いただいたのですが、「ずっと私のことを見ていてね」という心情が根底にあったので、そのテーマを軸に「いいわけバニー」よりもさらにセリフっぽさを強調した曲にしようと思いました。メルさんはASMR動画もよくアップしていたので、きっとセリフの収録も上手な方だろうと思いまして。

ーーまさに独特の甘い声質が活かされた、夜空さんならではの楽曲に仕上がっています。

ナナホシ:とにかくマイク乗りが良い声をされていますよね。ささやく系のアプローチは、声とマイクの相性もあるので事故になりかねない難しさがあるのですが、そこも上手くこなしていただきました。

ーー夜空さん側からは他にどんな要望がありましたか?

ナナホシ:僕が昔に作った「おねがいダーリン」という楽曲をリファレンスとしていただいたので、それもあってセリフをたくさん入れたのですが、その対比としてどれだけメロディに幅を持たせられるか? という課題もありまして。その結果、大変難しいメロディになってしまいました(笑)。でも、メルさんは声のレンジも広いので、きっと歌いこなしてくれるだろうと。

ーーこの楽曲を制作するにあたり、夜空さんの動画もチェックしたと思うのですが、ご本人にはどんな印象を受けましたか?

ナナホシ:配信を観た段階ではほわほわした方という印象でした。茶目っ気のような天真爛漫な感じはセリフパートで活かしたいと思っていて。でも、その後に「キャラメル・デビル」の歌のテイクをいただいたら、人格が入れ替わっているんじゃないか? と思うくらい印象が違ったので、びっくりしましたね。「魔界の天才ヴァンパイア」というのは本当なんだなと思いました。

ーー歌声のどんなところにすごさや驚きを感じたのでしょうか。

ナナホシ:サビや後半部分にロングトーン気味に歌う箇所があるのですが、そこの歌声の伸びが素晴らしくて。ちゃんと芯が通っているんです。サビの部分に仮歌にはなかったオクターブ下のレイヤーも入れていただいていて、1期生の気迫みたいなものを感じました。

ーー歌詞の内容的にも、「いいわけバニー」の少し優柔不断な感じとは違って、相手に対して「私だけを見ていて!」と自信満々にアプローチしている女の子像が描かれています。

ナナホシ:「執着」というか「束縛」という感じもしますよね(笑)。この要素はオーダーの中にもあったのですが、配信でほかのVTuberの動画を観ている人に対して、あくまでも冗談っぽくですけど「私だけを見て」に通ずるニュアンスのことを言っていた覚えがあって。それで「小悪魔」をよりかわいく表現したいなと思ったときに、メルさんの名前ももじって「キャラメル・デビル」というタイトルに決めました。

ーー夜空さんは魔界出身のヴァンパイアなので、小悪魔キャラもピッタリですし。なおかつツンデレを通り越してヤンデレ感があるという。

ナナホシ:そう、僕もそこまで振り切りたいなと思っていました。〈わかってるよ。君じゃなくて……その目が悪いんだよね?〉ですからね。ちょっと怖さもありますけど、それに魅了されてほしいですね。

ーーDメロのセリフ部分ですよね。あそこはサウンドも、それまでのアッパーな電波ソング調からゴシックな雰囲気に変化して、夜空さんの裏の顔が垣間見えるような演出になっています。

ナナホシ:あそこは苦労しました。メルさんのそれまでの楽曲は、「かぷっとNightSky」(2021年)もそうですが、ハロウィンや西洋っぽい雰囲気が盛り込まれている曲がすでにあったので、「キャラメル・デビル」ではその要素をメインにするのはやめておこうと思いまして。なのでDメロの部分で西洋のお城風のイメージを持ってきました。キャラソン的な解釈ですね。

ーーその前段で〈Kiss...〉とささやくパートもASMR的でゾクゾクしました。

ナナホシ:あれはちょっと露骨かなとも思ったのですが、でも入れたほうがいいなと。メルさんはああいうささやきもわざとらしくなく聴かせるのがすごくお上手なので。本当に良い感じに入れていただきました。

ーー改めて「キャラメル・デビル」は夜空さんが歌うことでどんな楽曲になったと感じますか?

ナナホシ:僕はもっと王道な仕上がりになると思っていたんですけど、全体を通して割と普通じゃない曲になりましたね。デモのときからは想像がつかないようなものになって。なにせ歌のパワーがすごかったので、後ろからかぷっと噛まれた感じでした(笑)。

ーー楽曲に歌い手の個性やタレント性が加わることで、化学反応が生じる感覚があったと。

ナナホシ:そうですね。そのワクワクもありますし、それに助けられている部分もあります。楽曲提供である以上、シンガーさんの歌があって初めて完成するので、デモはどれだけ詰めてもデモというか。言ってみれば80%の状態で渡すデモが、100%で返ってきたときの衝撃といったら……この衝撃を早くみんなに教えたいって思いますからね(笑)。

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