稲垣吾郎を介して増していく文学作品の作り手への愛着 『ななにー』コーナー「インテリゴロウ」ならではの着眼点

 それゆえに、この日も登場して早々に「僕らの世代からするとSMAPさん、稲垣さんはスターを超えて常識とか教養のレベル」と熱く語る姿も。その姿は「インテリゴロウ」にも『ゴロウ・デラックス』にも出演し、「僕にとってSMAPは生まれた時からあるので、インフラみたいなもの。電気・ガス・水道・SMAPみたいな」という名言を生み出した、こちらも30代の小説家・朝井リョウとも重なるものがある。「SMAP」や「稲垣吾郎」という視聴者との共通の話題で、その作家に対する愛着が増し、さらに作品への関心が高まる。それが「インテリゴロウ」にしかない切り口だ。

 また、そんな若い世代と稲垣の掛け合わせが、化学反応を起こしているのを楽しめるのも「インテリゴロウ」ならでは。結城がSMAPで育った世代らしく、飲み会を盛り上げる定番ゲームとして「世界に一つだけの花ゲーム」なるものがあると話す。誰もが歌える名曲「世界に一つだけの花」をカラオケでワンフレーズずつ歌い、歌詞に〈花〉が入っていた人がお酒を飲む、というルールを説明すると「ハハハッ、チャラい!」と軽やかなリアクションで場を和ませる。

 その空気に安心したように、“〈花束〉のフレーズならば2杯飲む”といったローカルルールまであるのだと続ける結城に、稲垣はにこやかに聞き入っていたかと思えばキリッとカメラ目線で「みなさん、真似しないでください。歌ってた人間が言います」と切り返す。そんな緩急の効いたやりとりに、笑わずにはいられない。

 かつては、デザイナー・黒田雄一をはじめとした年上の面々との交友で、多くの刺激を受けてきたと語っていた稲垣。その洗練された美学を持つ様子からも、人生の先輩たちとの相性が良いように思えた。だが、考えて見ればSMAP時代にも年上・年下メンバーに挟まれた「中間管理職」として絶妙な存在感を醸し出していた。大御所から若き世代までバランスよくトークを繰り広げることができるのも納得だ。

 それは、ゲストのみならずスタッフにも言えるのかもしれない。「インテリゴロウ」では稲垣とスタッフとのツンデレなやりとりもいいスパイスとなっている。短編のテーマにちなんでリモート飲み会の話題になったときも、稲垣がいつ誰に見られても大丈夫なように自宅を綺麗にしているのにやったことがないと話す。すると、スタッフがいいチャンスとばかりに「あの見てみたいんですけど、ロケとか行っちゃダメですか?」とグイッと来たものだから、稲垣は「キミはなんで入ってくるの? バラエティ番組っぽくしないで!」とピシャリ。

 さらに「こっちも本気で怒ってるわけじゃないですよ。怒ったテイを作ってあげてる」と暴露して笑いを誘う。もしかしたら、私たちは「インテリゴロウ」というコーナーで、「インテリゴロウ」という作品の裏話を聞いたのかもしれない。その証拠に「インテリゴロウ」への愛着は増していく一方だ。稲垣を介して、作り手とその作品に親近感を持つことができる「インテリゴロウ」。話題の作品や文化人を知る機会になるのはもちろん、このコーナーそのものも今後楽しみになるという意味でも、ぜひとも注目してもらいたいコンテンツだ。

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