SARUKANI、Rofu主催『BEAT X FES 2022 IN JAPAN』大阪レポ ビートボックス愛が叶えた前代未聞のフェス

 9月4日、SARUKANIとRofuが主催したビートボクサーのみが出演する音楽フェス『BEAT X FES 2022 IN JAPAN』の初日公演がZepp Osaka Baysideで開催された。

 チケットは大阪、9月6日の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)の2公演ともソールドアウト。主催2組のほか、世界大会で名を馳せた国内外のビートボクサーたちが集結。また、事前の一般公募から選ばれたグループが大阪公演、東京公演それぞれに2組ずつ出演した。

 まずオープニングDJとして登場したのは、音楽プロデューサーとしても活動するSO-SO。華やかでキャッチーなダンスポップ「2022」で一気に会場を沸かせた後、「Phycho Looper 2.0」やすさまじい音圧で届けられた新曲「Error Sound」が続く。ダブステップの低音で高揚がピークに達したところで、最後は一聴して耳に残る人気楽曲「SO-SO Exercise」を演奏。ストンプや手拍子など観客が持つ“音”を導き、あくまで無歓声の状態を保ちつつ一体感を両立させていた。

 続いて登場したのは、主催の1組であるRofu。自身のYouTube動画を模したOPムービーから始まり、序盤から世界大会でも披露していたオリジナル楽曲「ピーポーピーポー」でファンを歓喜させた。二人の織り成す小気味よく爽快なビートとFugaのキャラクターを生かした声音が、あっという間に客席をRofuの空気感へ巻き込む。

 だがオリジナル曲披露のタイミングで、音源と映像が流れないというトラブルが発生。なかなか改善しない間、2人でフリースタイルを披露する一幕もあった。アクシデントではあるが、身一つで多彩な演奏を行うビートボクサーとしての対応力が光った場面だった。

 そこから、一般公募で選ばれた2組によるステージへ。1組目はResonance。Gファンクの文脈を感じさせるグルーヴがあり、メロディ楽器の表現が豊富であった。2組目のヨコノリRecordsは、巧みな歌唱表現とともにスタイリッシュなハウスを聴かせた。両者ともまさに横ノリの音楽性が色濃い点で、前の2組とはまた異なる趣が印象的であった。

 続いてアコースティックギターを持ってステージに登場したのはオーストラリアのビートボクサー・Codfish。温かみのあるアコースティックナンバーを歌った後は、同じ喉から一転して振動を伴う力強いベース音が響く。そこからはエスニックな歌メロと蛇行するような低音を行き来しながら、攻撃的なシンセ音など様々な音色を表現し、重厚な世界観で観客を魅了した。

(写真=日吉”JP”純平)

 次に「Codfish、やばすぎる」と同志を讃えながら再登場したのはSO-SOだ。車のような音から始まる「Crazy Drive」から、音色の華やかさとビートの勢いで会場は大盛り上がりに。その後SARUKANIのクルーでもあるRUSYが加わり、昨年の世界大会で日本人初の優勝者となったタッグチーム・SORRYとして、大会で披露した「Submarine」を演奏。客席では曲が始まった瞬間から喜びの拍手が起きた。技術もさることながら、非常に明快なパフォーマンスや煽り方もまた彼らの大きな特長だ。それこそSO-SOの個性的な衣装のように、音に乗る楽しさを原色のまま伝えていくことが彼らの音楽表現なのだろう、と想像した。

(写真=日吉”JP”純平)

 その後はまた海外のビッグネームが続く。イギリスのビートボクサー・D-lowのステージは最新曲「LanigirO」から始まった。このクールでミニマルな楽曲を通してまず印象に残ったのは音および声の響きの滑らかさ、それに加えてシームレスな音の連なりによって作り出されるグルーヴ感だ。表現力豊かな歌唱が聴こえたかと思えば、振動が全身に伝わる迫力のベース音が放たれる。客席では展開ごとに手を挙げて盛り上がるものもいれば、あまりの高度さに唖然として見守る者もいた。

(写真=Leo_Kosaka)

 続いて、NYを拠点としているデュオ・SPIDERHORSE。歌唱表現において特に突出した個性を放ち、幅広い音色と音楽性を携えていたのがこの2人だった。冒頭で甘く儚い歌声を心地良く聴かせ、美麗なハーモニーと骨太なベース音を交互に響かせながらドラムンベースへ移行するなど、緩急自在な曲展開に思わず聴き入ってしまう。ジェット機のように響くベース音や中国の伝統的な楽器・二胡のような音など、音色も多彩であった。

(写真=Leo_Kosaka)

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