猫又おかゆ、音楽活動を通して辿り着いた予想外の未来 「応援してくれるみんなが僕のことをアイドルにした」
ホロライブプロダクション所属の猫又おかゆが、1stアルバム『ぽいずにゃ~しんどろーむ』をリリースした。同作には、本人が予てからのファンだというピノキオピーをはじめ、DECO*27、ナナホシ管弦楽団、FAKE TYPE.など様々なタイプのクリエイターが楽曲を提供。それぞれの作家が引き出した“シンガー 猫又おかゆ”の多面的な魅力が詰まった作品となった。
2019年にホロライブゲーマーズとしてデビューし、もともとはゲーム以外の活動に対する関心が薄かったという猫又だが、「歌ってみた動画」やオリジナル曲に対するリスナーからの熱い反響を受け、音楽活動に対する意識に変化があったという。本インタビューでは、猫又おかゆがどのようにして音楽活動に目覚めていったのか、そして歌うことを通して遂げた成長、1stアルバム『ぽいずにゃ~しんどろーむ』や1stワンマンライブへの思いについて話を聞いた。(編集部)
「応援してくれているみんなが僕のことをアイドルにした」
――まずはホロライブプロダクション(以下、ホロライブ)に加入したきっかけを教えてください。
猫又:僕は元々ゲームにしか興味がなかったので、アイドルなどには結構疎かったんですけど、(白上)フブキちゃんが「今こういうことやってるからよかったらオーディション受けてみない?」みたいな感じでホロライブのことを教えてくれて、オーディションを受けて今に至るという感じですね。
――オーディションを受けてみよう、と実際に踏み出した決め手はなんだったんですか?
猫又:今はホロライブもとんでもない大きさにまで成長していますけど、そのときは今ほどの規模ではなかったので、特になにも考えていなくて(笑)。大きな夢だったり、具体的な目標を持ってというよりも、単純に面白いことをやれたらいいなっていうくらいでした。
――もし誘われていたのが今のタイミングだったら、入ろうとは思わなかったかもしれないですよね。
猫又:そうかもしれないです。きっと自分には荷が重いだろうなと思って、多分検討すらしなかったんじゃないかなと思います。
――ホロライブの魅力をどんなところに感じますか?
猫又:色々あるとは思うんですけど、個人的に思う一番の魅力は、みんなの仲がいいところです。月並みな感想にはなるんですけど、本当にみんなの仲がすごく良くて。それが自然だから見ている方々にも、楽しんでもらえるのかなとは思っています。
――ホロライブゲーマーズとして加入してから音楽活動をするようになるまではどういう流れがあったんですか?
猫又:元々音楽は好きだったんですけど、カラオケに行くとか、自分の中で完結する範囲で楽しむレベルだったんです。でもホロライブに入って「歌ってみた動画」を出すようになってから、それをすごくみんなが褒めてくれるようになって。やっぱり褒められると楽しくなるじゃないですか(笑)。なので歌を投稿する頻度を上げてみようかなっていう感じでしたね。アーティストとしてというよりは、ただ楽しいから投稿してたら今の形に発展したという感じです。
――「ただ楽しいから」という言葉もありましたが、アルバムリリースやソロライブの開催まで活動が広がったのはご自身としても驚きが大きいですか?
猫又:音楽に限らず、ゲームをやること以外に関してはほとんどそうです。自分が大きな舞台に立って人前で歌ったり踊ったりするっていう未来はまったく想像していませんでした。そういう意味では、自分のことを応援してくれているみんなが僕のことをアイドルにした、と言っても過言ではないなと思います。
「にじさんじの町田ちまさんの歌には憧れます」
――猫又さんが元々好きだった音楽というとどのあたりなんですか?
猫又:小さい時にボーカロイドに出会ったんですけど、そこからはずっとボカロ曲ばっかり聴いていましたね。それ以外だと、椎名林檎さんもよく聴いてました。
――椎名林檎さんはどのようなきっかけで聴くようになったんですか?
猫又:以前仲良くしてくれていた大学生のお姉さんがいて、その方が椎名林檎さんの曲をよく弾き語りしてくれたんです。それで曲調に惹かれてCDをレンタルして聴いてっていうのがきっかけでしたね。
――歌詞というよりも曲調が好みにはまったっていう感じだったんですね。
猫又:ダークな曲調にビビっときたというか。歌詞よりも先にメロディラインが好きだなって感じたんですけど、それがなぜなのかはわからないんですよね。多分ハンバーグが好きっていうのに理屈がないみたいな感じなのかなと思っています(笑)。
――ボカロPでいうと、特に好んで聴いていた方はいらっしゃいますか?
猫又:いろんな方が好きなんですけど、一番好きなのはやっぱり「もぐもぐYUMMY!」を依頼させていただいたピノキオピーさんですね。一緒に曲を作ることができて夢のような話だなと。でも他にもいろいろ目に留まったものは広く聴いています。
――アーティスト活動を始めた中で、歌唱面などにおいて憧れるアーティストはいますか?
猫又:同じVTuberでにじさんじに所属している、町田ちまさんの歌には憧れますね。すごく繊細で、繊細の中にあるニュアンスのつけ方みたいなのが本当に天才的で。個人的にすごく尊敬しています。接点があるわけじゃないんですけど、個人的にめっちゃファンです。
――歌ってみたを含め音楽活動を始めてから約3年ですが、音楽活動との向き合い方に変化はありますか?
猫又:ありますね。最初は本当にカラオケで歌う延長で「歌ってみた」を録っていたんですけど、ここ1年くらいは歌を録する機会もグッと増えて、今は“歌を作る”みたいな感覚にシフトしていますね。
――歌を作る感覚は、どういう部分で感じますか?
猫又:例えばカラオケは最初から最後まで通しで好きなように歌うんですけど、レコーディングは歌い方のニュアンスや表現を楽曲に合わせて作っていくようなイメージなんです。あまりハマらなかったなと思ったらテイクを重ねていくこともありますし、その中で上手く言った部分を自分の中で切り貼りしながら、一曲を完成させていくというか。
――アルバム『ぽいずにゃ~しんどろーむ』のリリースが決まったときの心境は?
猫又:元々ライブのためにアルバムを作ろうと話していたんですけど、最初の頃は自分のことだけど全然実感が沸かないなって。ソロライブも、「え、やっていいの?」みたいな驚きがありました(笑)。でも実際にアルバム作りが始まる中で1曲1曲いろんな作家さんにお願いして、自分もすごく思い入れが深い曲がたくさん詰まったアルバムになりました。今は、みんなにもたくさん聴いてほしいという気持ちが大きいですね。