いま女性アイドルに“姉妹グループ”は必要? AKB48、ハロプロ、坂道……それぞれの打ち出し方を比較
ただ、姉妹グループという括りにしてしまうと、どうしても姉が絶対的存在に見られがちだ。いわゆる“本体”としてのイメージが強くなってしまうのだ。そうなると「妹グループは、姉グループを超えることはできない」と思われたり、姉グループの世界観などを踏襲することで偏った見られ方をされる場合もある。いずれも印象論にすぎないが、しかしそういった部分が姉妹グループと表記されるデメリットなのかもしれない。
逆に=LOVE、≠ME、≒JOYは、いずれも指原莉乃プロデュースではあるが、それほど姉妹感を感じさせずに活動しているところが興味深い(現に≒JOYは“第3のグループ”と銘打たれていた)。むしろ各グループが、他が持っていないものを自分たちの武器にして活動しているように見えることから、独立性を強く感じる。とはいえ、姉妹グループ、第2・第3のグループなどの序列はないに等しいように思う。
そうした括りが全くないのが、ハロー!プロジェクトグループだ。こちらも独立性があり、姉妹グループのような雰囲気はまったく感じさせない。それは、1998年1月にモーニング娘。がデビューし、しかし翌年にはお姉さん系の太陽とシスコムーン、そしてハワイ出身のメンバーで構成したココナッツ娘。という、先発陣とのつながりを感じさせず、奇抜さや個性を重視したグループを立ち上げたことが影響しているのではないか。あえて妹感や第2・第3というイメージをなくし、序列も感じさせないようにしたと推察できる。だからなのか、今にいたるまでモーニング娘。(現在はモーニング娘。'22)からそういった姉っぽさは感じない。
同様に坂道シリーズも、もともと欅坂46は乃木坂46の妹分という触れこみではあったが、現在は姉妹グループという捉えられ方はほとんどなされていない印象だ。坂道シリーズもまた、各グループの特色が際立っていることから、表向きは同系統ではありながらも、そこを強調するのではなく、あくまで個性重視で活動しているように思える。
姉妹や第2・第3という形だと、前述したようにどうしても「姉が絶対的存在」と思われがちだ。先輩後輩関係なく競争心やライバル性を高めるには、そういったイメージはない方が良いのかもしれない。ただ、前述した例も含め、姉妹グループや第2・第3のグループにもプロモーション面などで大きなメリットがある。どういう打ち出しにするかは、各運営や事務所の戦略にかかっているのではないだろうか。