ポルノグラフィティ、5年ぶりアルバムがチャート好調 ソロ活動の先に広がった歌のエネルギーと生身のメッセージ

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-08-15/

 夏休みド真ん中のオリコン週間アルバムランキング。1位には櫻坂46の1stアルバム、2位には歌い手・YouTuber めいちゃんの3rdアルバム、3位にはYouTubeやツイキャスなどを中心に活動するユニット Knight A - 騎士 A -の1stアルバムと、フレッシュな顔ぶれが並びます。

 一見すると何者かほとんどわからないネット発のクリエイターも多いランキングに、突如、ものすごく安心する名前が見つかります。5位のポルノグラフィティ。約5年ぶりとなるニューアルバム『暁』を今回は取り上げたいと思います。

 日本中がその名前を知っている。顔も覚えている。ヒット曲もよく耳にする。ファン以外にも広く知れ渡っているけれど、「アポロ」や「アゲハ蝶」「サウダージ」といったビッグヒットが先行し、ラジオ番組などを詳しくチェックしない限り、岡野昭仁と新藤晴一のキャラクターや言動は音楽よりも前には出てこない。特定のキャラクターを押し出さず、常にマスを狙ったヒットソングを量産。それが二人のプロフェッショナリズムなのだと思っていました。

ポルノグラフィティ『アポロ』/ PORNOGRAFFITTI『Apollo』

 しかし新作を聴くと印象が一変。まず岡野昭仁の歌がものすごく強いです。持って生まれた歌唱力をフル回転させながら、リスナーの耳を捕まえて離さない。どんなジャンルであれ“歌っていれば万能”とでも言うようなパワーを感じます。なんでも歌いこなせる人ではあったけど、こんなにエネルギッシュだったでしょうか。

 作詞はギターの新藤晴一が担当していますが、こちらも世間に知られるヒット曲とは少し印象が違います。1曲目「暁」から鋭い言葉が洪水のように溢れ出す。〈血の滴る弱音を吐け醜くとも〉〈絞り出した本音だけが刃となり/体を縛った鎖を断ち切る〉。ダークヒーローの覚悟を描いたこの曲に、思わず『鬼滅の刃』を連想しました。今回のアルバム、ポルノらしさだけでなく、それぞれ個の主張も強いのですね。

ポルノグラフィティ『暁』MUSIC VIDEO

 ヒントになるのは、2020年から始まった岡野のソロ活動「歌を抱えて、歩いていく」プロジェクトでしょう。先行してYouTubeとスペースシャワーTVが連動した番組「DISPATCHERS」がスタートし、大ヒット曲一一自分たちの曲だけでなく、LiSA「紅蓮華」やOfficial髭男dism「Pretender」など一一を次々とカバー。また、ラジオ番組のサプライズ出演をきっかけに井口理(King Gnu)との交流も芽生え、本格的なコラボへと発展した「MELODY (prod.by BREIMEN)」。ホームを離れ自らアウェイに飛び込んでいった2年間が、彼を大きく変えたのではないでしょうか。

-岡野昭仁@プライベートスタジオで紅蓮華を歌う-/ -PORNOGRAFFITTI's Akihito Okano Covers Gurenge by LiSA -
岡野昭仁×井口理『MELODY (prod.by BREIMEN)』MUSIC VIDEO

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