1997年を起点に捉える日本の3ピースバンド史 TRICERATOPS、DOPING PANDA、10-FEETの25年間や後続への影響

 また、実はこちらも結成25周年で、10-FEETと同じくメロディックパンクを出自としながらも、徐々にダンスロックへシフトしていったDOPING PANDAも3ピースバンドだ。彼らは2012年に解散したが、今年10年ぶりに活動を再開。3月に全曲新曲のニューアルバム『Doping Panda』をリリースしたことも記憶に新しい。2000年代、バンドというフォーマットを飛び越える、ジャンルレスでボーダレスなスタイルの土壌を必死で耕していた彼ら。活動再開した今、そこに花を咲かせる名曲を伸び伸びと生み出している。時代が彼らに追いついたとも言えるし、こうして歩みを振り返ると、改めて功績を評価したくなる。

DOPING PANDA 『Crazy』

 DOPING PANDAよりもひと世代下であるBase Ball Bearも、(2016年までは4ピースだったが)3ピースバンドの土壌を耕すバトンを受け継いだ代表格だと思う。DOPING PANDAのフルカワユタカが、Base Ball Bearのサポートギタリストを務めたこともあったように、そんな繋がりを彼ら自身も感じていたのかもしれない。

Base Ball Bear - DIARY KEY

 しかし、さらに遡って、1997年から3ピースでダンスロックを鳴らしていたバンドがいる。冒頭に挙げたTRICERATOPSだ。どちらかというと彼らは、The Beatlesから影響を受けた、ポップなロックバンドという視点で見られることも多かったけれど、ボーカルの和田唱は、マイケル・ジャクソンを追いかけていたことでも知られている。そのフィーリングは初期から生きていて、ロックバンドのグルーヴで、しかも3ピースのそぎ落とされた演奏で、「タテだけではなくヨコにもノれるんだ!」と彼らに気づかされた人は少なくないだろう。

マトリクスガール_MV TRICERATOPS

 10-FEETのメロディックパンク、ミクスチャーロックの道。TRICERATOPSのポップなダンスロックの道。まったく違う道のようで、1997年という起点や、3ピースバンドという形、さらに後続のバンドが重なっていたりと、意外なほど多くの交差点も見える。2バンドの道は、この25年の日本のロックの流れの縮図のようだ。1997年から、フェスやライブハウスを躍動させてきたメロディックパンクとダンスロックを語る上で欠かせない2バンド。今こそ対バンする機会があったら面白いのにな、なんて思わずにはいられない。

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