1997年を起点に捉える日本の3ピースバンド史 TRICERATOPS、DOPING PANDA、10-FEETの25年間や後続への影響

 今年、10-FEETが結成25周年、TRICERATOPSがデビュー25周年を迎える。活動しているフィールドが少し違うので、この2バンドにそんな共通点があるんだ! と驚きを覚える人もいるだろう。しかし、この2バンドには、もうひとつ大きな共通点がある。そう、3ピースバンドであるところ。そして、彼らが結成された90年代後半から現在に至るまでの3ピースバンドの歴史を紐解くと、興味深い流れが明らかになってくるのだ。

 まず、日本の3ピースバンドの認識を大きく変えた存在と言えば、間違いなくHi-STANDARDだろう。それこそ25年前である1997年にリリースされたのが『ANGRY FIST』。『AIR JAM』初開催もこの年だ。すでに1995年リリースの『GROWING UP』で躍進を遂げていたとはいえ、1997年はHi-STANDARDにとって、革新的な姿勢を広く知らしめた年となった。

 そして、この頃から(もちろんボーカルとギターなどの2人組でバンドと呼ばれている存在もいるし、それ以前から3人組もいたけれど)、「最小限の編成でそぎ落とされたバンドサウンドを鳴らす、3ピースバンドってかっこいい!」という認識が浸透し始めた。90年代は、オーバーグラウンドで活躍する4人組(Mr.Childrenやスピッツなど)や5人組(ユニコーンなど)の印象が強かったロックバンドだが、そこに新たに3人組というイメージが加わった。

 3ピースバンドがライブハウスを賑わせ始めた2000年前後に頭角を現したのが、10-FEETである。3人でライブハウスに根づいた活動を続けることで、キッズに存在が広まり、名曲が知られるようになり、メジャーフィールドへと駆け上がり、『京都大作戦』を主催するほどバンドシーンを牽引する存在となった彼ら。“3人でライブをする”ことがすべてのきっかけであり、今も基本となっているのだ。「そんなシンプルな編成で、こんなに壮大なことができるようになるんだ!」という道筋は、Hi-STANDARDにはじまり、その活動休止中も10-FEETや後続のバンドたちが具現化することで、キッズたちに希望を与えてきた。

10-FEET「VIBES BY VIBES」MUSIC VIDEO

 そして、2010年代はメロディックパンクを出自としながらも、そのオリジナリティをビビッドに表現する3ピースバンドが続々と登場する百花繚乱の時代へと発展。なかでも、10-FEETと同郷の京都出身であるヤバイTシャツ屋さんは、3人それぞれの強い個性をひっさげ、「ハッピーウェディング前ソング」「あつまれ!パーティーピーポー」など、真正面から、それでいて斜め上から、それまでのロックバンドになかった切り口で楽曲を作り上げていった。

ヤバイTシャツ屋さん - 「ハッピーウェディング前ソング」Music Video

 もうひとつ語るべき3ピースバンドといえばWANIMA。明るいキャラクターとメッセージ性が強い楽曲を持ち味に、Hi-STANDARDと同じ<PIZZA OF DEATH>に所属すると、瞬く間に飛躍し、メディアにも積極的に登場。『第68回NHK紅白歌合戦』にも出場した。こうして、オーバーグラウンドにも、“メロディックパンク”や“3ピースのロックバンド”という存在は浸透していった。

WANIMA- THANX(OFFICIAL VIDEO)

 なお、その先人として、2000年代に社会現象と言えるほどのヒットを巻き起こしたMONGOL800を語ることも忘れてはならない。彼らはほとんどメディアに出ることはなかったものの、その楽曲によって老若男女に知られるようになった。2019年からは2人組になってしまったけれど、そんなMONGOL800が、6月22日にWANIMAとのスプリットEP『愛彌々』をリリースするのは、時代が交わるようで、感慨深いものがある。

MONGOL800×WANIMA「愛彌々」OFFICIAL MUSIC VIDEO

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