Yasutaka、なとり、masa……TikTokで存在感放つ新世代シンガーソングライター 近年のバズの傾向を探る

 「誰っぽい」と表現しづらいほど、独特の世界観のなとり。彼の曲がTikTokで広く知られるようになったきっかけは、オリジナル曲の「猿芝居」だ。私自身もこの曲で彼を知り、一瞬で世界観に引き込まれた。

 この動画の投稿画面が表示された途端、独特なビジュアルに驚くと同時に“作曲2ヶ月目の私が作りました”という文が目に入る。始めたばかりとは思えないほどに作り込まれた世界観と、誰にも似ていない彼のサウンドに魅了された。また、彼の投稿にはTikTokの動画をきっかけに活躍中のimaseがたびたびコメントを残している。世間に見つかりつつある彼のフォロワーは4万人(2022年6月時点)。彼のようにカテゴリ分けしづらいような世界観を持つアーティストが多いのも、TikTokならではと言える。

 “女々しくて繊細な僕を歌う”がキャッチコピーのmasa。TikTokでは「masaの日常」というユーザー名で活動する彼は、動画投稿だけではなく、ぷらそにかのメンバーとしても活動しており、ライブを頻繁におこなっている。ライブ活動があるからか、コメントを残すファンと密にコミュニケーションをとっているのが彼の人気の秘密とも言える。また、共感できる歌詞も特徴的で、失恋を癒す歌詞というよりは、底まで一緒に沈んでくれるよう。

@masa12528 『ダメだってわかってるのに少し大人な恋をした女の子の歌』#愛鍵 #秋の歌うま #アトリエプロジェクト ♬ 愛鍵 - masa (アトリエプロジェクト)

 たったの数十秒でユーザーが感情移入できるのは、目線や仕草で訴えかけてくる彼の豊かな表情があってこそである。

 TikTokで多くのフォロワーを持つシンガーソングライターは、共通して初見の一瞬で立ち止まってしまうインパクトがある。耳で出会うサブスクの音楽配信サービスとは違い、ビジュアルでも訴えかけてくる部分こそ、TikTokの新世代アーティストの特徴だ。なとりのように作曲歴2カ月目にしてバズり、一気に有名になることもあるTikTok。こういったバズを生み出す中心のユーザーである若年層に、いかにわかりやすい言葉で共感を得るかがキーになりそうだ。

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