現在オンエア中のTVアニメ『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』（TOKYO MXほか）。先日放送された第5話で、特別エンディングとして白銀御行（CV：古川慎）と藤原千花（CV：小原好美）によるラップナンバー「My Nonfiction」が流れ、YouTubeに動画が公開されるとあっという間に100万回を超える再生数に到達するなど大きな反響を呼んでいる。同シリーズでは鈴木雅之が3期連続でオープニングテーマを担当しているほか、4月27日にシリーズ1期・2期の楽曲を集めたコンピレーションアルバム『KAGUYA ♡ ULTRA BEST』が発売されるなど、音楽面にも注目が集まっている。

　『かぐや様は告らせたい』シリーズは、エリートたちが集う名門高校の生徒会メンバーである白銀御行と四宮かぐやが、相思相愛であるにも関わらずプライドが邪魔をして告白できず、何とかして相手に告白させようと策略を巡らせる様子をコメディタッチで描いた作品。原作は『週刊ヤングジャンプ』連載中の漫画作品で、コミックスは25巻まで発売されシリーズ累計1750万部を超える（2022年5月現在）。アニメでは主人公の四宮役を古賀葵、白銀役を古川慎が担当するほか、小原好美、鈴木崚太、富田美憂など実力派が名を連ね、声優ファンの間でも人気の作品だ。

　物語を彩る音楽にも力を入れており、オープニングテーマをシリーズ通して鈴木雅之が担当。1期の「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」をリリースした際は“アニソン界の大型新人”と話題を集め、世界最大級のアニメソングイベント『Animelo Summer Live 2019 -STORY-』に初出演を果たした。いきものがかりの水野良樹が作詞・作曲、編曲を本間昭光が務め恋の駆け引きをメランコリックに歌った「ラブ・ドラマティック」、2期「DADDY! DADDY! DO! feat.鈴木愛理」では、今にも恋の導火線に火が付きそうな様子がスリリングに歌われ、その縁から鈴木愛理は放送中の3期エンディングテーマ「ハートはお手上げ」を担当。3期のオープニング「GIRI GIRI feat.すぅ」には、SNSに「やはりこの人じゃないと！」といった歓喜の声も。TikTokですぅが披露している「#GIRIGIRI」ダンスも話題だ。

　『KAGUYA ♡ ULTRA BEST』には、1期と2期のオープニングテーマ／エンディングテーマに加え、キャストによるカバーも収録されている。白銀＆四宮による「ラブ・ドラマティック」は、ソロで音楽活動も行う古川の低音ボイスが実に渋く格好良く、『アイドルマスター SideM』などで聴かせるキャラクターソングとはひと味違った、ソウルフルな歌声とグルーヴを聴かせる。そこに古賀の透明感のある歌声が重なり、原曲とは違った魅惑的な輝きを放つ。キャストが歌うことでより歌詞の意味が深まり、セリフのやりとりのように聴くこともできる。

　石上優（CV：鈴木崚汰）＆伊井野ミコ（CV：富田美憂）による「DADDY! DADDY! DO!」は、キャラクターとして歌いながらも、隠しきれない2人の歌唱センスが溢れている。鈴木は、アニメ『錆喰いビスコ』（TOKYO MXほか）のエンディングテーマ「咆哮」を花江夏樹とともに担当するなどキャラクターソングも人気。富田は、Kleissisなど声優ボーカルユニットのメンバーとしても活動、2019年にソロデビューし、今年4月にアニメ『デート・ア・ライブIV』オープニングテーマ「OveR」をリリース、数多くのキャラクターソングを担当しており歌声に定評がある。曲が進むにつれて次第にエモーショナルになっていく鈴木と富田のボーカルは胸に迫り来るものがあり、オチサビの鈴木の歌い上げは同曲における最大の聴きどころと言っていいだろう。あくまでもミコとしてハーモニーを奏でながら、存在感を放つ富田のニュアンスの付け方も聴き逃せない。

　また、halcaが歌った1期エンディングテーマ「センチメンタルクライシス」の四宮によるカバーは、原曲の可愛らしさがまた違った角度から表現されている。古賀の歌声は非常に美しく伸びやかで、今後の音楽活動にも期待が高まる仕上がりだ。