2022.03.18 12:00

ばってん少女隊、サウンドの変化がもたらす新たな魅力　「OiSa」から「YOIMIYA」まで、ダンスチューン3部作を徹底分析

文＝宗像明将、文＝渡辺彰浩

「YOIMIYA」は“本祭”に向けた祭り囃子

　再集結を約束した場所・福岡国際会議場での7周年公演を経て、今年11月に中野サンプラザホールでのワンマンライブを開催する、ばってん少女隊。グループは、そのゴールまでの助走として『仙台＋東名阪ツアー「令和4年度春の入隊式！」』『九州全県ライブハウスツアー』の2つのツアーを控えており、3月18日リリースの新曲「YOIMIYA」は“本祭”に向けた祭り囃子に位置付けられる。

　メジャーデビューシングル「おっしょい！」をはじめ、スカコアサウンドを武器にしてきた彼女たちは、2020年に立ち上げた自主レーベル・BATTEN Recordsとグループの新体制を機に、サウンドスタイルを徐々にダンスミュージックへと傾倒してきた。

　「おっしょい！」をプロデュースした渡邊忍（ASPARAGUS）が手がけ、同じ“山笠のかけ声”の意味を持つ「OiSa」は、まさにグループが新たなスタートを切りながら、メンバーがデビュー当時とは違ったしなやかな表現力を兼ね備えていることを示す楽曲でもあった。400万回再生に迫るMVのコメント欄は、その中毒性のある楽曲から、ばってん少女隊に行き着いたリスナーで溢れている。

「わたし、恋始めたってよ！」が歌う“恋に踊る心”

　前述のように新たな層へとリーチを広げた彼女たちは、その1年後の2021年11月に「OiSa」に続くダンスチューン「わたし、恋始めたってよ！」をリリース。再び渡邊忍が手がけたサウンド構成は、ループするサビの主旋律に別のメロディが織り混ざっていく終盤の展開が共通している。“祭りの神秘性”をメインテーマに怪奇的な要素も持ち合わせている「OiSa」に対し、「わたし、恋始めたってよ！」が歌うのは“恋に踊る心”。淡く透き通ったシンセサイザーの音色は恋の始まりを、先述したメロディラインが自分では抑えることのできない胸の鼓動を連想させる。

ばってん少女隊『わたし、恋始めたってよ！』-Music Video-

　これらの2曲を含んだ、ダンスチューン3部作のラストを飾るのが「YOIMIYA」だ。タイトルは前夜祭を意味する“宵宮”から。今回はケンモチヒデフミ（水曜日のカンパネラ）がプロデュースをしており、オリエンタルなサウンドとMVのミステリアスな雰囲気からは「OiSa」を、ノスタルジックな雰囲気の歌詞に登場する〈この恋のおみくじ（ハラハラ）／刻む和太鼓空気ふるわせた〉〈不意のタイミング出くわした幼馴染〉といった心情描写からは「わたし、恋始めたってよ！」の要素を感じさせもする。さらにアヴィーチーを彷彿とさせるハウスミュージックに、「神社」「巫女」「御幣」「勾玉」といった日本神話に通ずる様々なファクターがMVの中にミックスされていることは、海外で爆発的に再生される可能性を大いに秘めている。

ばってん少女隊『YOIMIYA』-Music Video-

　筆者は2月に開催された『スペシャプラスまつり vol.7』で、「YOIMIYA」をパフォーマンスするばってん少女隊を観た。ライブで活きてくるのは、曲途中の三三七拍子のリズム。コール＆レスポンスができなくなったコロナ禍以降、どのアーティストもそのライブスタイルを模索する中で、手拍子という原点に立ち返ったシンプルかつこれ以上のない答えがそこにはある。

　「YOIMIYA」は“祝祭”に向け、ばってん少女隊にとっての新たなアンセムに育っていくはずだ。（渡辺彰浩）

■リリース情報
タイトル：「YOIMIYA」
発売日：2022年3月18日（金）
形態：デジタル配信・エムカード
価格：¥1,500（税込）
絵柄：7種
収録内容：YOIMIYA（音源）/ ランダムボイス1種
https://store.battengirls.com/

■ライブ情報
ばってん少女隊
仙台＋東名阪ツアー「令和4年度春の入隊式！」
2022年4月16日（土）仙台RENSA
＜第1部：BGM+（ワンマン公演）＞
＜第2部：ばっしょー入門（ワンマン公演）＞

2022年4月17日（日）渋谷CLUB QUATTRO
＜第1部：ばってん × Task have Fun（対バン公演）＞
＜第2部：ばっしょー入門（ワンマン公演）＞

2022年4月29日（金・祝）梅田CLUB QUATTRO
＜第1部：ばってん × フィロソフィーのダンス（対バン公演）＞
＜第2部：ばっしょー入門（ワンマン公演）＞

2022年4月30日（土）名古屋CLUB QUATTRO
＜第1部：ばってん × TEAM SHACHI（対バン公演）＞
＜第2部：ばっしょー入門（ワンマン公演）＞

【九州全県ライブハウスツアー】
・5月7日（土）熊本B.9 v1
・5月8日（日）大分 DRUM Be-0
・5月14日（土）長崎DRUM Be-7
・5月15日（日）佐賀GEILS
・5月22日（日）福岡DRUM LOGOS
・5月28日（土）宮崎LAZARUS
・5月29日（日）鹿児島CAPARVO HALL
・7月3日（日）　福岡国際会議場　7周年記念ワンマンライブ
・11月26日（土）中野サンプラザ　ワンマンライブ

■関連リンク
ばってん少女隊オフィシャルサイト：https://battengirls.com/
BATTEN Store：https://store.battengirls.com/
YouTubeチャンネル：https://www.youtube.com/channel/UC2li-2tGOG7O7M6_dcJZWqA
Twitter：https://twitter.com/battengirls_jp/　
Instagram：https://www.instagram.com/but_show.insta/　
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宗像明将

1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。

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