日向坂46 丹生明里、宮田愛萌、影山優佳……メンバーが開拓する声優への道

　日向坂46の丹生明里が声優として出演する、劇場版長編アニメ『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた⾳が、今も響く-』が2月25日に公開される。さらに、1月29日には宮田愛萌と石原夏織によるラジオ番組『まなもの部屋 with 石原夏織』（文化放送）が放送されて大反響を呼ぶなど、日向坂46が声優／アニメ分野へ接近している。

　日向坂46は、聴き心地の良い個性的な声を持つメンバーが多いように思う。例えば、低音ボイスの齊藤京子や艶のある声質が特徴的な加藤史帆のほか、佐々木美玲や松田好花などがラジオで活躍し、おひさま（日向坂46ファンの呼称）の耳を幸せにしている。

　声優学校の生徒の青春劇を描いた『声春っ！』（日本テレビ系）が制作された理由も、日向坂46メンバーに声優の可能性を見出したのか、もしくはアイドルグループとして新たなジャンルを開拓したいという運営側の思いが少なからずあったと予想できる。同ドラマでは、女優経験豊富な佐々木美玲と丹生明里がW主演を務め、山寺宏一、平野綾、戸田恵子といった声優界のレジェンドたちとも共演した。

　丹生は、日向坂46の中でも特に快活なメンバーで、リアクションが大きいことでも知られている。その存在自体が、どこかアニメチックな雰囲気を持つメンバーだ。現在、ラジオ番組『ベルク presents 日向坂46の余計な事までやりましょう』（TOKYO FM）でパーソナリティーを務め、そこで聴かせる感情豊かな声色も魅力的だ。

　以前から丹生は『ドラゴンボール』好きを明かしており、アニメ『約束のネバーランド』の副音声コメンタリーへの参加や『ジャンプフェスタ2022』の「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」スペシャルステージに出演するなど、日向坂46の中でも漫画やアニメ分野に近い存在でもある。以前より声優に挑戦したいと公言し、2020年には金村美玖、渡邉美穂と共に、ショートアニメ『かえるのピクルス - きもちのいろ - 』（BS12）で声優に挑戦。ケーキ作りに失敗した女の子役を担当し、普段の丹生とは異なる声色で、泣いたり、喜んだり、感情豊かな声の演技を披露していた。

　そんな丹生は、竹達彩奈が主演を務める劇場版『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』で仮面の少女の声を担当し、長編アニメに初挑戦。予告編を見る限り、バラエティやラジオで聞く地の声をベースにしたものではなく、シリアスな雰囲気を纏った声を聞かせている。『声春っ！』では、彼女のキャラクターにあった快活な演技と同時に、感情を抑えた表現も印象深かった。こうした演技の幅の広がりは、声優としての演技に繋がっているのではないだろうか。

　『Anime Japan 2021』のステージで、藤咲淳総監督は丹生について、「アフレコ前はどうなるんだろうとドキドキしていましたが、丹生さんは発声もちゃんとしている上に、演技も私の想像を超えてきたので、声優さんと同様に対等に扱おうと思って、逆に要求を上げていきました。そして、その要求にも答えてくれました」と高評価。また完成披露試写会では、竹達からも「すごく素敵だった。初めてだと思えないくらい。私が思っていた仮面の少女のまんまで、初めてお聞きしたとき驚きました」と絶賛されている。 今回の声優仕事に手応えを感じたのか、丹生は1月22日のブログにて、今年の目標の一つに「声優さんのお仕事をする」と掲げ、声優に対する意欲を見せている（※1）。