『EXILE TRIBUTE』で味わうJr.EXILE 4組の豊かな色合い 原曲との変化から見える各グループの強み
12月15日リリースのFANTASTICS『FANTASTICS FROM EXILE』のリード曲は「Each Other's Way ~旅の途中~」(原曲は2011年2月リリース)。以前からライブで継続的にカバーされてきたため、ファンにとってはすでに馴染み深い楽曲である。その経緯もあってか、ベースとビートが際立たされている点を除けば大きな改変部分はない。ボーカル2人の歌声と楽曲の爽やかで優しい音色、それらの相性の良さが活かされた素直なカバーとなっている。
カバー版MVの背景にある青い木は原曲MVのオマージュだが、いっそう華やかに彩色された衣装やセットなどには、FANTASTICSのポップさが表れている。また、原曲MVにキッズとして参加したパフォーマー・木村慧人がFANTASTICSに所属していることもあり、今作でもキッズダンサーがフィーチャーされているという点が他のグループと異なる特徴だ。彼らの強みである、間奏の洗練されたパフォーマンスも見どころになっている。
12月22日リリースのGENERATIONS『GENERATIONS FROM EXILE』のリード曲は、2008年7月リリースのベストアルバム『EXILE ENTERTAINMENT BEST』収録の「SUPER SHINE」。発売当時から、それまでのEXILEのイメージから離れたディスコ・ファンクの懐かしい曲調と世界観で注目された同曲。GENERATIONSによるカバーでは、冒頭に関口メンディー、大サビにあたる部分に佐野玲於のラップパートが挿入されているのが主な特徴だ。ボーカル2人が丁寧な歌唱で調和している分、コミカルなギャップが生まれている。
元がコンセプチュアルで個性的な作品であるためか、白衣装やサングラス、ボーカルが歩くセット、横一列のパフォーマンスなど、MVにおけるオマージュ的要素は他グループよりも一際濃い。それでいて“SUPER SHINEの世界を体現するGENERATIONS”という見え方が成立するのは、キャリアの中で確立されたグループの個性ゆえに成せる業だろう。また、途中で挿入されるアニメーションには彼ららしい親しみやすさも感じられる。
時代を越え、現在のJr.EXILEメンバーを含む多くのフォロワーを生んできたEXILEの楽曲群。周年記念としてのトリビュートという限定的なコンセプトではあるが、強い個性を持つEXILE楽曲を媒介として各グループの特徴、強みが改めて見えてくるというのが、この『EXILE TRIBUTE』の魅力であるように思う。
※1:https://article.auone.jp/detail/1/5/9/76_9_r_20211124_1637719335258014