EXILEの20周年を振り返る　最終回：逆境乗り越え新体制へ、エンタテインメントの可能性を更新し続ける14人

　11月2日には最後のオリジナルメンバーであるATSUSHIがソロ活動に専念することを理由にグループを勇退したのだが、『PERFECT YEAR』を締め括る第5弾『LIVE×ONLINE BEYOND THE BORDER』の最終日（12月29日）には、AKIRAとTAKAHIROを中心とした新生EXILEが早くも登場し、話題を呼んだ。だが、先輩達から受け継いだ大切なものは、変わらずにメンバー一人ひとりの心の中にある。ロックな新曲「RED PHOENIX」（2020年11月23日に先行配信）で“攻めのEXILE”を見せる一方で、2020年9月に歌手デビュー（EXILE加入）15周年を迎えたTAKAHIROは、EXILEの楽曲をセルフカバーしてリリースしていく＜EXILE RESPECT＞シリーズから、ミディアムバラード「Heavenly White」を丁寧に届ける。ATSUSHIが参加したラストシングル『SUNSHINE』（2020年12月16日）に、TAKAHIROの希望でATSUSHIと歌唱したバラード「約束 ～promises～」が収録されたこともあり、変わり続けるEXILEの中で“EXILEの歴史を歌い続ける軸”としての覚悟を感じる場面となった。後のインタビューでATSUSHIも、TAKAHIROからデュエットを求められたことに対して「『もっと強く』を一緒に歌っていた頃とか、そうなる前の7人でまだバラードが多かった時期のこととか、彼の中ですごく強く残ってくれているんだなと思って、嬉しかったというのもありますね」（※2）と語っており、勇退した今も2人の絆は健在である。

　オンラインに希望を見出した2020年を経て、2021年はEXILE TRIBEのリリースから幕開けを告げた。1月1日に、新生EXILEの「RED PHOENIX」を含むコンセプトシングル『RISING SUN TO THE WORLD』をリリースしたEXILE TRIBEは、3月10日の東京ドーム公演を皮切りにドームツアー『EXILE TRIBE LIVE TOUR 2021 "RISING SUN TO THE WORLD"』を開催。緊急事態宣言の影響で、当初予定していた1月からの有観客ライブ再開は叶わなかったものの、「日本を元気に。そして、日本の元気で、世界を元気に」をコンセプトに掲げた本ツアーは大成功に終わり、Jr.EXILEや三代目 J SOUL BROTHERSも政府の要請に基づいた有観客ライブを再開した。

　また、EXILEは51stシングル『PARADOX』（2021年4月27日）や、配信シングル「One Nation」（2021年5月27日）、「HAVANA LOVE」（2021年7月1日）をリリースする。14人体制になって初の楽曲「RED PHOENIX」でも、作詞にTAKAHIROとSHOKICHI、作曲にSHOKICHIと白濱が参加していたり、SHOKICHIがドラム、NESMITHがギター、白濱がDJプレイを披露するなど、メンバー達の個性が炸裂していたが、続く「PARADOX」もTAKAHIROが作詞、SHOKICHIが作詞作曲を手がけるダンスチューン。「One Nation」もSHOKICHIが人気ゲーム『戦国無双5』のテーマソングとして歌詞を書き下ろしたものである。そもそもLDHは、2007年に始動した『エグザイル』以降、2019年にJr.EXILE総出演のプロジェクトとして始動した総合エンタテインメント『BATTLE OF TOKYO』がアニメ化を発表するなど、アニメ・漫画・ゲームといったサブカルチャーの発展に力を入れてきた事務所であるが、近年は世界（EXILE／FANTASTICS）を筆頭にサブカル好きを公言するメンバーが増え、体育会系グループのイメージから、“様々なジャンルに精通したメンバーが集結したグループ”といった印象に変わりつつある。音楽だけでなく、あらゆるジャンルに向けられた情熱がEXILEをさらに大きく育てていく。そんな個性豊かな14人で、世代の壁を越えて楽しげに歌い踊る「HAVANA LOVE」が、20周年を迎えた“今のEXILE”を象徴している。

　そしてEXILEは、20周年イヤーの幕開けとなる9月27日、2022年1月1日に12thオリジナルアルバム『PHOENIX』をリリースすることを発表した。アルバムとしては、前作『STAR OF WISH』から約3年半ぶりのリリースとなり、収録曲はすべて新生EXILEの楽曲で構成されるという。「RED PHOENIX」と同様に“不死鳥”を冠したアルバムで、14人はどんな姿を見せるのだろうか。メンバー一人ひとりの活動を見ていれば、その可能性は無限大だ。だが、間違いなく言えることが1つある。彼らが反撃の狼煙を上げる時、エンタテインメントの世界に、日本に、世界に再び陽が昇る。20年の歴史を振り返った先に見えたのは、いつの時代も変わらずに未来を照らしてきた男達の魂の光だった。

※1：https://realsound.jp/2020/02/post-497520.html
※2：https://realsound.jp/2021/07/post-804779.html