BTS JUNG KOOKとSUGA、ソロでも発揮する音楽的才能 それぞれのアプローチの違いに迫る

 BTSのJUNG KOOKが9月1日に25歳(日本では24歳)の誕生日を迎え、世界中のARMY(ファン)から祝福の声が上がった。8月31日の夜にはV LIVEにてライブ配信を行ない、誕生日になる瞬間をARMYと過ごすという粋なはからいを見せ、その同時視聴者数は2000万とも。さらにはARMYから寄せられたメッセージをもとに即興ソング「Song for ARMY」を披露するなど、さすがの「黄金マンネ(末っ子)」っぷりを発揮してくれた。

해피 벌스데이 투 미🥳

 また、8月30日にはBTSで多くの楽曲プロデュースを手掛けてきたSUGAが、Samsung「Galaxy」シリーズのプリセット楽曲「Over The Horizon」のアレンジを手掛け、フルバージョン音源をYouTubeにて公開したことも話題に。伸びやかな電子サウンドとダイナミックなストリングス。SUGAが持つクールかつ情熱的な才能を感じさせる仕上がりだ。

Over the Horizon by SUGA of BTS

 そこで今回は、JUNG KOOKとSUGAのソロとしての音楽的魅力を見ていきたい。

パーフェクトの先を楽しむJUNG KOOKの歌

BTS『Butter』

 JUNG KOOKはライブ配信する当日の朝から、コミュニティアプリ Weverseでも「誕生日に関わらず言いたかったことを“歌詞“みたいな文章で書いてください」とメッセージを募集していた。そして、配信時には事前に歌詞に使用したいメッセージを厳選してきており、準備に抜かりがない。

 そんな慎重な姿勢からも伺える通り、JUNG KOOKの音楽に対するスタンスを「完璧主義者」と呼ぶ人も多い。「Song for ARMY」を作り上げるときにも「僕は作業するときすごく時間がかかるんです」と話していたように、フレーズを歌っては聴き返す作業を何度も何度も繰り返す。「半音下げた音のほうがキレイに出るときがあるんですよ」「手動で合わせるのが好きなんです」「設定を少しだけマイナス2くらい」と細かく調整していく。その微差によほど耳がいいのだと感心してしまう。

 そうこうしているうちに「楽しい。楽しくなってきた」と笑い、ふわりとハモリパートを歌ってみせるのだ。その軽やかに歌い上げた声に「もはや音源!」と言いたくなるのは筆者だけではないだろう。仮に私たちが脳内に「JUNG KOOKの歌声」というセンサーがあるとしたら、彼の歌声はしっかりど真ん中に当ててくる。その気持ちよさが、彼の歌にはある。

 「なんだか惜しいですよね」と再び調整を繰り返す姿に、きっと彼自身のイメージにもその完璧な「JUNG KOOKの歌声」というものがあるのだろうと予想する。それはラフに座っているときでも、激しくダンスを踊るシーンでも、正確さと妥協のなさは変わらないのだ。耳の良さはもちろんのこと、声量や音程のコントロール。その自己再現性の高さこそ彼の類まれなる才能であり、努力の賜物だ。

 「完璧主義者」という言葉の持つイメージそのままに、自分に厳しい部分を持ちながらも、JUNG KOOKの口からは「こういう感じで曲が作られるんです。遊びで!」という言葉と共に笑顔が溢れる。彼が完璧を目指すのはごく当然のことであり、さらにその先にある気持ちの良い音楽を目指す工程を「遊び」と表現するのは、本当に歌が好きなJUNG KOOKならではだろう。

 何をしてもパーフェクトなことから「黄金マンネ」との異名を持つJUNG KOOKが「歌うことしかできないので」と言っていたのも、単なる謙遜ではなく、それだけ歌=アイデンティティである表れ。パーフェクトな歌を届けることは、彼にとって生きることそのもの。そんな魂から響く歌声だからこそ、世界中を魅了して止まないのだろう。

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