KIRINJI、バンド形態終了後の新体制で生み出す新たな音像　Awichも駆けつけた“再会”ワンマンを観て

　ここでゲストのAwichが登場。彼女がレコーディングに参加するまでの経緯や、オンラインでの打ち合わせエピソード（堀込は、沖縄に住むAwichのご両親とあいさつしたのだそうだ）で場がなごんだところで、Awichの楽曲である「Bad Bad」に続いて、個人的に、今回のライブでもっともすばらしかったと感じた「爆ぜる心臓 feat.Awich」を演奏。Awichの堂々としたラップは挑発的で実にすばらしい。

　またサックス担当のMELRAWは、巨大なバリトンサックスに持ち替えて激烈な低音を響かせ、堀込はこの曲のためだけに使用したギブソンSGのダブルネックギターを勢いよく鳴らす。赤いダブルネックはほとんど威嚇用の武器といった雰囲気であり、この新機軸の楽曲に対する意気込みが伝わってくる。ライブで演奏された「爆ぜる心臓 feat.Awich」からは、これまでにないKIRINJI、まったく新しいサウンドを聴かせてもらったという興奮が感じられた。

 

　ライブは終盤に入り、「明日こそは」「『あの娘は誰?』とか言わせたい」「Almond Eyes」と演奏は続いていく。MELRAWは昨年のライブでも演奏していたが、継続してメンバーとして声がかかるのもよくわかる、という活躍ぶりである。彼のサックスは本当にすばらしい。「Almond Eyes」でプレイされた、朗々としたサックスソロは特に忘れがたく、その音色だけでバンドの演奏全体がゴージャスに変化するようなテイストがある。ソプラノ、アルト、テナーからバリトン、さらにはフルートまで、曲ごとに忙しく楽器を取り替える様子も見ていて楽しい。

　最後は「再会」、そして冒頭で演奏された「鳩の撃退法」のインスト曲をふたたびプレイしてライブは終了。たしかにバンドとファンはこの会場で再会できたわけだが、まだ手放しで楽しめるような状況ではなかったことが惜しまれる。1時間少々と限定された時間でのライブではあったが、会場を訪れたファンに話を聞いてみると「もっと聴きたかった」（Aさん）「開催してくれただけで嬉しい」（Mさん）「とても濃厚だった」（Uさん）「今後の展開がより楽しみになった」（Uさん）と、大いに満足していたようである。全14曲とコンパクトなライブだったが、「新しいメンバーでどういう風が吹くのか見てみたかった」（Rさん）という思いはきっと叶えられただろうと感じられる、充実した演奏であった。

【写真で見る】KIRINJI、Zepp Hanedaでの新体制ライブ

■配信情報
EPリリース記念ライブ「KIRINJI SPECIAL LIVE 2021 ～SAIKAI～」
有料生配信詳細はこちら 
視聴可能期間 
2021年8月14日（土）18:00生配信開始～8月22日（日）23:59までアーカイブ視聴可能