アニメ『あの花』から10年ーー声優らが歌い継ぐ「secret base ~君がくれたもの~」はなぜ色あせないのか?

『secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)』

 この「secret base 〜君がくれたもの〜」は、子供から大人へと成長する過程で感じる後ろ髪を引かれるような切なさを、夏休みの終わりの寂しさと重ねて歌ったナンバー。子供のころに友だちと秘密基地を作って、まだ親には言えない将来の夢を語り合った思い出など、きっと誰の心にも残る懐かしくて少し甘酸っぱい思いが、まるでホタルの光のごとくゆっくりと瞬くような楽曲だ。

 同曲が最初に発表された20年前、当時10〜13歳の小中学生だった茅野、戸松、早見は、まさにZONE世代であり、めんまたちと同世代であった。子供のころにきっと口ずさんでいただろう「secret base 〜君がくれたもの〜」を、歌詞の通り10年後に歌ったのだ。

 3人が歌う「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」は、茅野の透明感ある歌声で始まり、戸松、早見へとメインボーカルが移っていく。歌唱力に定評のある3人のハーモニーは抜群で、優しく丁寧に歌い上げたボーカルが心地よく胸に響く。また、手話を交えた振り付けもあり、揃いの衣装に身を包んで歌う3人の姿は、『ANOHANA FES. MEMORIAL BOX』などの映像作品でも見ることができる。

 年を重ねるごとに、思い入れが増し味わい深くなっていく「secret base 〜君がくれたもの〜」。シンプルなバラードのメロディと共感性の高い歌詞が、どんなに時代を経ても色あせない普遍性を与えている。また10年後、そしてまた10年後も、聴きたいと思える楽曲だ。

 ちなみに「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」の編曲は、当時ハチ名義で活動していた米津玄師、GARNiDELiAのtoku(当時はとく表記)、2年前に亡くなったヒトリエのwowaka、古川本舗によるプロデューサーユニット=estlaboが手がけていた。もともと名曲だった楽曲を、より名曲たらしめたのには編曲家の力があったことも付け加えておく。

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