山下達郎サウンドらしさは“音の陰影”にある? スージー鈴木×マキタスポーツが「RIDE ON TIME」コード進行を分析

マキタ×スージー、山下達郎サウンドを分析

 「マキタさん!起きてください!」デスクの上で寝ていたさかっち(酒井瞳)が目覚め、マキタスポーツを起こす。いつもと様子が違う不思議な世界観と共にスタートした『ザ・カセットテープ・ミュージック』(BS12 トゥエルビ)#74。「スージー鈴木の精神世界2」と題して、実際に鍵盤でメジャー7を弾こうという実践編だ。

 「スージー鈴木の精神世界」とは、スージー鈴木が講師となり、マキタスポーツとさかっちに基礎的な部分からキーボードの弾き方を教える企画。コード進行などの専門的な知識が少ない人にもわかりやすく、実際の演奏を交えながら音楽のコアな部分まで知ることができる。

 スージー鈴木はもちろん、マキタスポーツとさかっちの前にはキーボードが用意されている。同企画のポイントは、本来であればマニアックとも言えるコードの成り立ちを、わかりやすく噛み砕いて教えているところ。例えば、メジャーコードとマイナーコードを説明する場合は、「メジャーは4・3、マイナーは3・4」という法則で解説。「4・3」は鍵盤の「ド」から黒鍵を含めてカウントし、4つ目が「ミ」、そこから3つ目が「ソ」で、そこを同時に鳴らすとCメジャーの明るい雰囲気の音に。一方で「ファ#」から3・4で重ねるとF#マイナー(ファ#、ラ、ド#)という悲しげな音が鳴る、という具合で演奏経験者でなくても覚えやすい。(後にマキタスポーツがさらっと話しているのだが、ABCDEFG→ラシドレミファソとそれぞれに当てられている)

 今回のテーマは「スージーの右手見栄講座」と掲げ、右手でカッコいいコードやアドリブを簡単に弾く方法をレクチャー。「メジャー7を弾こう」というお題では、山下達郎の「RIDE ON TIME」を例にあげて「メジャー7を言い換えるとシティポップコード。これが弾けるとキーボードからシティポップの風がふわっと吹き抜ける」と解説。「ドの1オクターブ上の半音下『ド・ミ・ソ』がCメジャー。Cメジャー7って言うのはド・ミ・ソに、シを入れます」と4音を聞かせる。実際に弾いてみたマキタスポーツ「本当におしゃれね!メジャー7って」と、感激した様子だった。

左からスージー鈴木、酒井瞳、マキタスポーツ
左からスージー鈴木、酒井瞳、マキタスポーツ

 そこから「RIDE ON TIME」の冒頭〈青い水平線を〉のコード進行「Gmaj7→A」をピックアップ。「Gmaj7」の通り、「ソ・シ・レ・ファ#」を鳴らし、「青い~!」と歌って見せるスージー鈴木。「あ!いけるんだ!」さっきまで難しいと言っていた二人も驚きの表情を浮かべる。「Gmaj7」の次は「A」へ。「ラ・ド#・ミ」を弾いてみると、一気に「RIDE ON TIME」の雰囲気に。そのままリズムにのって弾き始めるスージー鈴木に、「先生、先に行かないで!」「先生どんどん沖に泳いで行っちゃうから。我々、まだ浜にいますよ」とマキタスポーツが止める。初心者にとっては、このゆっくりな進行がありがたい。

 「ソ・シ・レ・ファ#」→「ラ・ド#・ミ」を交互に繰り返すと、これまた不思議なことに「RIDE ON TIME」の冒頭の音が聞こえてくる。「ソ・シ・レ・ファ#」=Gmaj7の構成要素を分解すると、「ソ・シ・レ」がGメジャー、「シ・レ・ファ」がBマイナーに分けられる。これを踏まえて、スージー鈴木は、「Gmaj7っていうのは、メジャーコードとマイナーコードの混合なんです。だからメジャーコードって単に明るいメジャーコード、単に暗いマイナーコードの間といいましょうかね。陰影があるわけですよ。ほのかに暗い」と解説する。

 音の印象を日本語で細かく解説してくれるのは、この番組ならでは。わかるまで教えるのが「スージー鈴木の精神世界」だ。

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