BiSHメンバー分析第1回:アイナ・ジ・エンド、表現者&作り手として開花する才能

メンバーからも信頼「BiSHを続けてこられたのはアイナの振り付けのおかげ」

 アイナは、グループの振り付け担当でもある。その理由について「最初はお金がなかったから」と話すのは、BiSHのプロデューサーであるWACKの渡辺淳之介氏(※1)。単純に彼女が経験者だったからと、破天荒さも目立つ彼女たちらしい理由ではあるが、この話には、のちに渡辺氏が「2、3年ぶんの振り付け代を別途お支払いしました」(同上)というオチまである。

 加入当初から、観客もステージ上の自分たちをマネできるようにと“サビで手を上げる振り付け”を徹底していたアイナ。ライブの定番曲であるグループ名を掲げた「BiSH-星が瞬く夜に-」などの映像を見ると、会場全体の一体感を見せつけられる。

 また、アイナの振り付けはメンバーからの信頼も厚い。活動を共にするモモコグミカンパニーは自著『目を合わせるということ』の中で「BiSHを続けてこられたのはアイナの振り付けのおかげ」と独白。「メンバー個々の“らしさ”を大切にしてくれる」「メンバーの体の得意な動きや苦手な動きを分かってくれている」と、評価している。

表現者でありながら作り手としての才能も評価

 先述したソロ1stアルバム『THE END』をはじめ、近年は、グループを離れた活動も目立つ。そのルーツをたどるために、欠かせない1曲が彼女が人生で初めて作詞作曲したというソロデビュー曲「きえないで」だ。

 同曲は、メンバーのセントチヒロ・チッチが作詞作曲を手がけた「夜王子と月の姫」との両A面シングルとしてリリース。これを機に広く知られるようになった。しかし、生まれたのはグループの加入前。自身のTwitterで「18歳のとき、人生で初めて作詞作曲した曲です」と述べたアイナは「最も大事な曲」と位置づけている。

 表現者でありながら作り手としての才能も評価されている。2020年2月期に放送されたドラマ『死にたい夜にかぎって』では、自身初の書き下ろし曲として作品と同名の主題歌を提供。今年1月期のドラマ『アノニマス~警視庁”指殺人”対策室~』でも、主題歌「誰誰誰」を作詞作曲から担当した。

 今年2月から3月にかけては、愛知県、大阪府、東京都を巡ったソロツアー『first solo Tour "THE END"』を完走。4月には、フォークロックバンド・ROTH BART BARONのメンバーである三船雅也とのユニット・A_oとしてポカリスエットのCMソング「BLUE SOULS」をリリースし、ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!教育委員会』(TOKYO FM)の月曜レギュラーに抜擢されるなど、今なお順調に活躍の幅を広げている。

 ソロ活動で得たものが、グループにどう還元されていくのか。アイナの“今”を見ていると、この先への期待しか生まれない。

<参照>
(※1):https://realsound.jp/2017/12/post-134193_2.html

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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