『Wonderland』インタビュー
lyrical school、ヒップホップアルバムとしての自信 hime&risanoが明かす“新しさ満載の制作秘話”
「himeはラップ師匠」(risano)
ーー「Danger Treasure」は『OK!!!!!』収録の「Dance The Night Away」に続いて、Kick a ShowとSam is Ohmと2度目の共演になりますが、また一緒にやってみていかがでしたか?
hime:私はただのKick a Showファンだったので、1回でも満足だったんですけど、2回目がサラっと来た時にすごく嬉しかったですね。今回、Kick a Showさんはレコーディングにはいらっしゃらなかったんですけど、Sam is Ohmさんが来てくださって。びっくりするくらい爆踊りしてて(笑)。
risano:私も一緒に踊って録ってました。
hime:集中して歌詞を見ている時に、斜め後ろでめっちゃ踊っている人がいて。私、risanoだと思ってたんですよ。でもなんかデカいなと思って(笑)。Sam is Ohmさんがすごいノリノリで踊ってて、それが超嬉しかったですね。ブースに入っても、小窓からSam is Ohmさんが踊っているのが見えて、レコーディングがやりやすかったし、超楽しかった記憶があります。
ーー2度目の共演という意味では、『OK!!!!!』で「HOMETENOBIRU」を作詞されていたvalkneeもそうですね。
hime:valkneeさんも大好きなので、仮歌を聴いている時から嬉しくて。次のchelmicoのRachelさんの「Fantasy」とかもそうなんですけど、特にこの2曲のhinakoのラップが超上手くて。仮歌も歌詞も女性だし、女性ラッパーだからこそ引き出してくれてるところがあるのかなって。
risano:私も「SHARK FIN SOUP」のhinakoのバースは、これまでのhinakoの中では一番カッコ良かったし衝撃を受けました。今回はメンバーがみんなすごく成長していて、刺激的でしたね。
ーー今少し話が出た「Fantasy」は直球のベースミュージックというか、曲としてもめちゃくちゃカッコいいですね。
risano:〈夢が本当に〉で始まるのところがまたすごく好きで。
hime:スキットからこの曲っていう流れが良いんだよね。
risano:そうそう、完璧なフィット。あと個人的には『のだめカンタービレ』を意識して、この曲のレコーディングに挑みました。あのミュージカル感であったり、『のだめ』のキャラクターのダルそうな感じであったり。Rachelさんには「上手く歌わずに気だるそうにして、音程外して」って言われて。それがすごく難しくて。
hime:そうなんだ。
risano:仮歌を何回も聴いていたし、やっぱり上手く歌いたいって思っちゃうんですけど、音程を外すのに結構苦戦して録り直しましたね。
ーー中盤のスキット以降の「Fantasy」から、「TIME MACHINE」「Bright Ride」「FIVE SHOOTERS」っていう流れは、このアルバムの中で個人的に一番好きなところです。
hime:あ~、分かります。
risano:そこマックスですね。今回のアルバムは曲順がすごく面白くて。前半が「こんなのリリスクでやっていいの?」みたいな感じで、さらにスキットの後の「Fantasy」からまた「えっ、これってリリスク!?」っていうのをもう一度思わせられる。ちなみに「TIME MACHINE」って、レコーディング前にそれぞれのメンバーの歌詞割りが決まっていなかったんですよ。
hime:いつもはDJがメインになってプロデューサーと一緒に歌詞割りするんですけど、この曲は割り振れなかったみたいで。とりあえず、みんなに全部歌ってもらって、それを聴いてからしっくりくる子をハメようって思ったみたいで。リリスクの曲としては新しすぎて、難しかったんだと思います。
ーーそれだけこの曲は今までと違ったということですよね。
risano:全然違いましたね。しかも意外な割り振りというか、英語パートはhimeと私かなって思ってたんですけど、hinakoだったからちょっとビックリして。レコーディング前にhinakoが「英語教えて~」とか言ってて(笑)。
hime:だから、めっちゃ時間かかったんですよ。
risano:一緒に英語のレッスンをしたんですけど、そしたらすぐ吸収して、本当にアメリカンな感じでしっかりできてた。クールなhinakoっていうのが初めて出てきましたし、この曲は本当に全員が垢抜けたなって思うんですよね。minanちゃんもめちゃくちゃカッコいいし、新たな良いクセが出ている。yuuもこの曲でピュア度が全て出ているなと思ってて、そこがもうめちゃくちゃ可愛い。himeも低音のクールさが出ていて、とにかくめちゃそれぞれのキャラが際立ってるんですよ。本当に全員違う。
ーーお二人はリリスクの中で特にヒップホップ度が濃いメンバーで共通点も多いように感じますが、今回のアルバムを通してお互いをどう見ていますか?
hime:risanoが入るオーディションの時、私はあんまり意見を言わなくて。まだ高校生でよく分かっていなかったし、リリスクに入ったばっかりだったので、言える立場じゃないと思ってたんで。けど、唯一言ったのが「ハスキーな声の子が欲しい」ってことだったんです。そしたらrisanoが入ってきて、それ以降、低いパートがあったら問答無用でrisanoみたいな感じだったんですよね。けど、今回はrisanoが高く歌っていることが結構あって、もともとrisanoの低い声に惚れてたと思ってたんですけど、最近はむしろ高い声のrisanoのほうが好きかもしれない。それってrisanoに限ったことじゃなくて、他のメンバーもそうなんですけど、こうだと思っていたものが実は引き出しの1個に過ぎない。実はみんなもっと持っていて、それを豪華な制作陣の方々が開いてくれたんだなって。それを見れるのが嬉しいし、もっと見えていない面があるんだなって気付けて、今後も楽しみになりました。
risano:嬉しいです。私は、himeの引き出し力ってすごいなと思っていて。元からカッコいいんですけど、カッコいいの中にも種類があって、全部違う。超難易度高いなと思います。リリスクの中でカッコいい要素はやっぱり私とhimeだと思っているんで、一生懸命ついていかなきゃっていうか。私も全部一緒じゃなく、今度はこういう録り方でやってみようとか、どんどん一緒に高め合っていこうっていう気持ちですね。メンバー同士で尊敬できるってすごく良い関係だなって思います。私は昔からずっとhimeのことを「ラップ師匠」って呼んでるんですけど。
hime:それ、こっちが言わせてるみたいに聞こえるから、外ではそう呼ぶなって言ってるんですよ(笑)。
risano:himeだから、最初はプリンセス(姫)って言ってたんですよ。けど、全然プリンセスじゃなくて、ラップ師匠なんですよ、本当に。
hime:これ書かないでくださいね!
risano:いや、書いてください(笑)。どんだけ曲知ってるのっていうぐらい知ってるし。私がラップバトルやってる時もずっと支えてくださって。私もめちゃくちゃいろんなラップバトルの動画を見てたけど、himeのほうが全然知ってるし。「この子の戦いヤバいし、risanoっぽいから、ちょっと見てみて」って、情報をシェアしてくださったり。
hime:......してくださったり(笑)。
risano:自分はまだまだだな、もっと頑張らないとって。一生懸命himeについていこうっていう姿勢で、いつもめちゃくちゃ必死です。