松井珠理奈がSKE48として残すラストメッセージ 11歳デビュー、青春捧げたアイドル人生の成功と挫折を語る

SKE48 松井珠理奈 卒業インタビュー

「“誰かのために”と思うと強くなれるタイプ」

SKE48 松井珠理奈

ーーずばり聞きたいのですが、珠理奈さんが自分のアイドル人生に点数をつけるなら、100点中何点ですか?

松井:えー! 難しーい!

ーー卒業コンサートなどはこれからなので、今のところの点数にはなりますが。

松井:うーーん……70点くらいじゃないですかね?

ーーそれはなぜ?

松井:こうと決めたら突き進んでしまうところがあるし、ストイックになりすぎる部分もあるので、それが良い方に転ぶときもあったけど、「もっとこうすればよかった」と後悔に変わってしまったときもあるんです。本来の性格って多分ストイックではなくて、SKE48とかAKB48に入ってプレッシャーや責任感を与えてもらえたからそうなったんだと思うんですよ。だから私の中には素とは違う、別の珠理奈がいるんです。

ーーストイックになりすぎてしまう、アイドル珠理奈が。

松井:はい。だから素の珠理奈をもっと出して、もっと子供らしくやれていたら良かったのかなと思うことがあるので、70点くらいかなと。

ーー「大声ダイヤモンド」のときは、「なんで私がセンターに」と言っていましたもんね。あれが今で言う素の珠理奈だったと。

松井:あのときは本当に思っていましたよ。なんでこんなおチビを? って(笑)。

ーーアイドルの珠理奈さんを長く見ていると、あの記憶は薄れてしまって。「最初にこんなこと言っていたんだ」と意外に思うくらいですが……。

松井:弱いんですよね、本当は。守るものがあったり、誰かのために何かをしなければと思うと強くなれるタイプなんですよ。

ーー強くなれたきっかけはやはり「大声ダイヤモンド」ですか?

松井:そうですね。AKB48の選抜に入ったとき、それを羨ましく思うメンバーが結構いたんです。「私がそこに入りたい」って。そんな状況で、いつまでも「なんで私が?」と嘆いていたら、「じゃあ私が代わりに行くよ」と思われてしまうじゃないですか。そう気づいたとき、それは嫌だなって思ったんです。選んでもらったからには、珠理奈でよかったとみんなに思ってもらいたいって。その思考になったとき、変わったんじゃないかなと思います。あとは兼任したときとか。自分のためじゃなくて、SKE48を広めるために任務を与えられたんだという気持ちが芽生えました。

(「大声ダイヤモンド」から)「もうダメかも、無理かもと思ってました」

SKE48 松井珠理奈

ーーただ、珠理奈さんは自身のYouTubeチャンネルで「辞めたいと思ったことは正直ある」と言っていましたよね。それはいつ?

松井:それは……実は最初からです。「大声ダイヤモンド」のときから。

ーー使命感が生まれた裏で、葛藤もあったのですね。

松井:あの当時は個別握手会ではなくて、ファンの方がいろんなメンバーと握手をする形式だったんです。そうすると、「なんでSKE48なのにいるんだよ」と納得していないファンの方に握手していただけなかったり。それが辛くて悲しくて。ああ、もうダメかも、無理かもと思っていました。でもそんなとき、母が「自分の娘が自分の夢を叶えてくれたみたいで嬉しい」って言ってくれたんです。母も昔、アイドルや歌手になりたかったんですって。そのときも、自分の夢だけじゃなく母の夢も背負っているんだと感じて、踏ん張れました。私のために仕事を頑張ってくれている母を見ていたので。

ーー素敵なお話です。でもまだそのときって小学生ですよね。そんな時期に覚悟が生まれるって単純にすごいことだなと思うのですが、ご自身ではどうですか?

松井:ああー……自分がすごいというよりは、置かれていた環境がすごい! という感じでした。当時はまだ事の重大さに気づいていなかったんです。「なんでだろう?」みたいな疑問はあったけど、小6だったし無邪気すぎてそれ以上は浮かばず。周りのリアクションで徐々にわかってきた感じでした。今なら絶対無理ですけどね! あんなすごい先輩たちの中にぽいと放り込まれて、急に真ん中で歌わされるその状況がやばい(笑)。いろんなことをわかりすぎているので、プレッシャーに押しつぶされます。小6の強さを感じますよね。

ーーではそれ以降、「辞めたい」という思いがよぎることはありましたか?

松井:あとはAKB48のチームKと兼任したときにもありました。もちろん、嬉しかったんですよ! AKB48も好きだし、チームKにいたのは大島優子さん、(宮澤)佐江ちゃん、秋元才加さんと憧れている先輩ばかりだったので、そんな人たちを劇場で見られるなんて! と思っていたけど、これ以上スケジュールが忙しくなると厳しいなと思っていたし、なによりSKE48のファンの方々が悲しんでいたんですよ。

ーー本拠地で見られる機会が減ってしまうわけですからね。

松井:あくまで一部ですけど「AKB48になったの?」「SKE48じゃなくたんだ」っていう人もいました。それに、メンバーとの距離も感じるようになりましたね。AKB48にいる間にSKE48でもいろいろ動きがあって「知らないうちにこんなことがあったの?」と、ギャップを感じることも多くなって。自分としてはSKE48のためにやっていて、AKB48でいるときもSKE48のことを思ってステージに立っているのに、それがうまく伝わっていないなって感じたときは寂しいなと思っていました。

ーー伝えづらいですものね。そういう複雑な思いって。

松井:「私はSKE48のことが大好きなんです!」と突然言っても嘘っぽく聞こえちゃいそうだなとか、いろんなことを考えてしまって辛かったです。名古屋でライブをやっても、声援が自分だけ小さかったのも辛かった。逆に、AKB48のファンの人たちは受け入れてくれて、「AKB48の劇場で見られるのは嬉しい」と言ってくれていたので、今思えば家が2つあった感覚ではあるんですけどね。

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