Mrs. GREEN APPLE、活動休止中も衰えないバンドの存在感 「インフェルノ」MV1億回再生突破などから考察

 一方、活動休止後のバンドの動きに注目すると、ファンとの接点を絶やさないための工夫が見て取れる。MVの再生数が大台に乗ると、Instagramのストーリー機能を通してファンにそれを報告。その投稿一つひとつのデザインが非常に凝っているほか、ストーリーは24時間で消えてしまう=希少性が高いため、熱心にチェックしているファンも少なくないのではないだろうか。

 ストリーミングの再生数に応じてリリックビデオが公開されるのもファンにとっては嬉しく、“曲を聴く”という行動を心地よく促すような取り組みだ。また、インストアルバムの配信リリース、ピアノ譜の発売、人気曲5曲の公式コード譜公開など、“曲を聴く”に留まらず、演奏してみようとするリスナーを後押しする動きも目立つ。以前、「青と夏」についてインタビューした際、映画主題歌にも関わらず〈映画じゃない〉と繰り返し歌っている背景について聞いたところ、メンバーは「映画の話を他人事だと思わないでほしい」「“自分事”として持ち帰ってほしい」と答えてくれた(参照:SPICE)。映画と観客を切れない糸で結ぼうとしたあのときと同じような想いで、今はバンド自身とそのファンを繋ごうとしているのではないだろうか。

 そんななか、水面下では新たな展開も。大森がTOMORROW X TOGETHERに新曲「Force」を提供したほか、『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)内のレギュラーコーナー「ミセスLOCKS!」(大森単独出演形式で継続)では、未発表の新曲「メメント・モリ」を(ソロ名義と前置きしたうえで)初披露した。過去には「PRESENT(English ver.)」という曲がバンド名を伏せた状態でSNSで公開されたこともあり、いつ・どこで彼らの新たな作品に出会えるかわからないワクワク感もファンの熱を高めている要因の一つでもあるのかもしれない。

 いずれにせよ、活動再開を高い熱量で待ち望んでいるリスナーが多数いることは事実だ。5人に再会できるその日が待たれる。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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