久保田利伸、全曲サブスク解禁で「LA・LA・LA LOVE SONG」バイラル上位に　世代超えて届く洗練されたアレンジと芳醇な歌

　23位の「Missing」は、久保田の1stアルバム『SHAKE IT PARADISE』に収録されているラブバラードだ。オリジナルの発売は1986年。そのピュアなメロディや、切ないボーカルアプローチで、熱心なラジオリスナー（当時ラジオリスナーは熱心な音楽リスナーでもあった）や、ライブに赴いたファンの間で口コミ的に“楽曲の良さ”が広がり、シングル曲ではないものの、久保田利伸を語る上で欠かせない1曲となった。オリジナルの発売から2～3年後に、同曲に複数のタイアップが付いたのも、当時の日本では珍しいこと。また、これまで国内外含め多くのアーティストがカバーしているところにも、「Missing」の名曲ぶりが伺える。そんな1曲が23位にランクインしたのも、前述したように彼の楽曲が幅広い年齢層に響いているからだろう。

　ワールドトレンドを意識したサウンドメイク。機材にまでこだわり抜く音楽に対するモチベーション。ニューヨークに移住して探求した本場のブラックミュージックやジャズ。ヒップホップはもちろんレゲエやアフロビートまで取り込む日本人離れしたフィジカルなリズム感。切なさと明るさが同居するスケール感あるメロディ。シティソウルを彷彿させる表情豊かなボーカル。新しい音楽に対する飽くなき好奇心……すべて、デビュー当時、1986年から変わらない久保田利伸の魅力である。

　その多彩な魅力も歴史も、実力も、彼の最新型もすべて解禁だ。さぁ、久保田サブスク沼へ、ようこそ。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル（新中野駅から徒歩2分）始めました。
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