TikTokで話題の「Mad at Disney」バイラルチャート上位に　キャッチーな音と痛烈な歌詞で描かれた“現実とロマンスの間”

　ディズニー作品において愛を語るうえでしばしば取り上げられる「真実の愛」について〈Finding a true love's kiss is bullshit〉（真実の愛を見つけ出すなんてデタラメ）と宣言し、〈What the hell is love?〉（愛って一体なんなの？）と投げかける。愛するとはどういうことなのだろうか。いともたやすく掲げられる「真実の愛」という概念に対して明確な説明ができる者はいるだろうか。この楽曲の人気は、ディズニーの掲げる非現実的にも思えるロマンスへのZ世代からの回答のように思える。

　ディズニーへの批判という表面的な立て付けがクローズアップされがちな本楽曲。ところが、実際に幹となっているテーマは複雑に入り組んだ「現実」と自らが疑いなく信じてきた「理想」との間で揺れ動く心情であり、ティーンエイジャーが大人になる過程で「現実」に折り合いをつけていく寂寞としたもどかしさなのではないだろうか。

■Z11
1990年生まれ、東京／清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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