BTS、“1人の人間として”の思いに迫るドキュメンタリー メンバーそれぞれの自我や信念が明らかに
そしてJ-HOPEは、青春はすべてBTSに捧げたと言っていた。それゆえに手放したら自己紹介ですらもぎこちなくなるかもしれない、とも。彼にとってはBTSが日常であり、また、そこに自分の自我も存在しているのかもしれない。BTSについて「歳をとって思い出した時に涙が出るだろう」とはにかんで答えたJ-HOPEはとても眩しかった。
JIMINもまた、「BTSはどうして進み続けるのか」という問いと「人生の意味」を問われたときの答えは同じだと言っていた。“楽しいから”、“一緒にいるのが楽しいみたいだ”と、メンバーやグループへの愛をにじませた。
リーダーのRMはこの映画を通してファンに多くのメッセージを伝えてくれた。彼が自分自身に向けた言葉は、全ての人にとって大切になるものだからだ。映画の始まりに登場する今回のツアーの最終公演でのコメントから、ツアータイトル『LOVE YOURSELF』の通り自分を愛することに対するRMの考えまで、彼の想いが詰まった言葉が届いてくる。
スタジアムでの公演は花火が締めくくり、それぞれが様々な想いを抱きながらBTSとARMYがその瞬間を共有した。今や世界から愛を受ける彼らが、デビュー時から何も変わっていないと言い切ることはできない。ただ、彼らはしっかりと自分という存在の根底にBTSのメンバーとしてではない“自分”や信念を持ち続けることができているのだろう。
日々歴史を更新し続け、世界中で愛されているBTSのメンバーもまだ20代の青年である。彼らが何を考え、何を大切にしながらグローバルスターへの階段を着実に登って行っているのか。そして、彼らが目指す“BTS”の姿とはどんなものなのか。貪欲に、しかし謙虚にあり続ける私たちの星の物語にぜひ耳を傾けてほしい。
■フルヤトモコ
1999年生まれの大学生。韓国のカルチャーと洋楽、本、映画など。
東京藝術大学 音楽環境創造科在籍。