「#Challenge」企画、プロデューサー同士のオンラインバトル……自宅でも楽しめるUSのR&Bムーブメント

名だたるプロデューサーたちによるバトルシリーズが勃発 

 また、ひとつの投稿としてではなく、ライブ機能を使った音楽の生配信を試みるアーティストたちも多い。「Club Quarantine」と題し年代を超えた選曲で踊らせてくれるD・ナイスのDJ中継や、エリカ・バドゥのベッドルームコンサート(こちらは自身のサイトから配信)などが注目を集めているが、いま最もホットといえる企画が、スウィズ・ビーツとティンバランドが事の発端となったプロデューサーバトルだろう。

 自らがプロデュースを手がけた楽曲を交互にかけ合う、レゲエで言うところの“Tune Fi Tune”形式が用いられたこの企画は、即座に大盛り上がり。なにしろスウィズもティンバランドも20年以上にわたり第一線で活躍しているアーティスト同士だ。かかる曲すべてがヒットチューンで、自宅でも思わずカラダを揺らさずにはいられない。バトルという名目ではあるが「グッドミュージックを創り上げたクリエイターたちへの賞賛なんだ」とスウィズが語る通りのパーティー仕様となっている。

EPIC! Timbaland vs Swizz Beatz IG Live Beat Battle Coronavirus Lockdown Edits

 「カルチャーのために」をキーワードにしたこの企画は『VERZUZ』と名付けられ、スコット・ストーチVSマニー・フレッシュや、T・ペインVSリル・ジョンといったビッグマッチが立て続けにオンエア。その熱はR&B界にも飛び火し、3月末に行われたジョンテイ・オースティンVSニーヨの“ソングライターバトル”は、最高8万人ほどのオーディエンスが同時にその模様を見届けた。

 R&Bにあかるい人なら馴染み深いジョンテイ・オースティンは、マライア・キャリーの「We Belong Together」やメアリー・J. ブライジ「Be Without You」などのグラミー受賞作品を手がけた、超がつくほどのヒットメイカー。90年代から裏方として活躍していて、ほかにもタイリース「Sweet Lady」や故アリーヤの「Miss You」といった、アーティストにとっての代表曲を数えきれないほど書いている。(昨年には15年越しのデビュー作『Love, Sex, & Religion』をリリースした。)一方のニーヨも、シンガーとしての功績は言うまでもないが、元々はソングライターとして脚光を浴びていた。そのきっかけとなったマリオ「Let Me Love You」や、ビヨンセ「Irreplaceable」、リアーナ「Take A Bow」など他アーティストへの提供曲でもチャートを席巻した名曲だらけだ。ベストマッチとの意見も多く上がったこの一戦は、実にジェントルなやり取りで互いの音楽を讃えることに成功した。これぞ、R&Bマナー。動画でアーカイブを見るときには、曲がかかるたびに反応するオーディエンスのコメントも一緒に読むと臨場感があって面白く、各対戦の選曲をまとめたプレイリストをストリーミング再生するだけでも気持ちがいい。

FULL SONGWRITER BATTLE NEYO VS JOHNTA AUSTIN IG LIVE 2020

 そしてこのシリーズ、なんと次に予定されている一戦はベイビーフェイスVSテディ・ライリー。この先誰も出てこれなくなるよ……というツッコミはさておき、R&Bファン垂涎モノのスーパープロデューサー対決だ。2人のカタログを掘り起こしたら規定ルールの20曲はもちろん、100曲ターンがあっても足りやしないだろう。(なお当初発表されていた日程はベイビーフェイスの体調不良を理由に一度延期されたが、現地時間の4月18日に再度行われるとのこと)。なお、この世紀の一戦はベイビーフェイスのインスタグラムにてライブ配信されるろいう。

 自粛期間が長く続き、経済的・精神的・肉体的に辛い日々だが、みんながそれでも音楽を欲していて、一緒に共有すればさらに楽しくなることを普段以上に噛み締めている。オンラインの繋がりに感謝しつつも、やはり目の前でライブを観たり音楽の流れる場所で誰かと踊れる喜びを手放しで味わえる日々が待ち遠しいばかりだ。

◾️Yacheemi / ヤチーミ
ダンサー / DJ / ライター / タコ神様。
国内~ジャマイカでダンスバトルでの入賞を経験後、 ヒップホップ・グループ「餓鬼レンジャー」 にマスコットとして加入。3密のナイトクラブを中心に年間100本近くのステージに立つ傍らで、地上波TVにも幾度か出演。またR&B音楽にまつわる座学や執筆活動も行うなど、独自のフリースタイル・グルーヴ道を歩む七変化系男子。

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