Mr.Children、一挙公開された20タイトルMVから振り返る名曲群 改めて感じる歌のメッセージとは

 解釈が面白いもので言えば、「Worlds end」(2005年)もその一つだ。〈飲み込んで吐き出すだけの 単純作業繰り返す 自動販売機〉という歌詞のように、画一化された人間たちの中を彷徨う、二人の男女。二人の心が最後には通じ合い、その世界から解放されるというストーリーだ。本作を制作した丹下紘希監督は、他にも「君が好き」や「くるみ」、「箒星」など数多くのMr.ChildrenのMVを担当している。筆者は丹下監督の作品が好きなのだが、その理由の一つは、曲の世界観やメッセージを大切にしながら、もう一つの世界を見せてくれるところにある。丹下監督の手腕によって、よりその曲を好きになれると思うので、他作品含めチェックしてみてほしい。

Mr.Children 「Worlds end」 MUSIC VIDEO

 今では実力派俳優として活躍している、若かりし頃の綾瀬はるかと平岡祐太が出演しているのが「未来」(2005年)。当時ポカリスエットのCM曲にもなり、爽やかさ満点の作品だ。最初の2分半は綾瀬が歩いて登校するのをひたすら映しており、そこに平岡が合流し、自転車に二人乗りするという展開。このまま学校へ、かと思いきや、綾瀬は途中で自転車を降り、少し一人で時間をつぶし、二人は別々に到着するのだ。あれ、もしや付き合っていることは秘密なのか……もはや怖いものなし、〈果てしない未来〉のある青春である。しかし爽やかなMVとは対照的に、歌詞では〈生きてる理由なんてない だけど死にたくもない こうして今日をやり過ごしてる〉と歌われているところが、このMVの見えない奥深さなのかもしれない。

Mr.Children 「未来」 MUSIC VIDEO

 その他、今回は 「抱きしめたい」、「Replay」、「CROSS ROAD」、「innocent world」、「【es】~ Theme of es ~」、「Everything(it's you)」、「口笛」、「優しい歌」、「箒星」、「ひびき」、「Marshmallow day」、「ヒカリノアトリエ」、「SINGLES」も公開された。公開当日は新型コロナウイルス感染拡大を受け、安倍首相が東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出した日であり、この公開はMr.Childrenからの「家で音楽を楽しんで」というメッセージかのようだった。「【es】~ Theme of es ~」の〈何が起こっても変じゃない そんな時代さ 覚悟はできてる〉や、「ヒカリノアトリエ」の〈過去は消えず未来は読めず 不安が付きまとう だけど明日を変えていくんなら今 今だけがここにある〉という歌詞は、まさに今の状況に通ずる物がある。“Stay home”しながら、Mr.Childrenの歌のもつメッセージを、改めて感じてみてはいかがだろうか。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

関連記事