乃木坂46「I see…」にSMAPファンがなぜ反応? 楽曲にある“SMAP感”の正体を紐解く

 しかし、冒頭でほんの少しだけ顔を出し、さらにサビ後にここぞとばかりに主張するサックスのソロがこの曲のムードを急変させる。このサックスソロがあることで同曲は、ただ盛り上がるだけのおちゃらけソングというよりはむしろ、少々オトナな装いのパーティーチューンといった印象に様変わりしている。

 この“シック”な趣からは90年代中盤のSMAP、とりわけ『SMAP 006〜SEXY SIX〜』(1994年発売)から『SMAP 009』(1996年発売)あたりまでの海外の名うてのミュージシャンたちがレコーディングに参加していた時期の彼らを彷彿とさせる。いわゆるフュージョン系の演奏家たちを集めて海外録音し、信藤三雄がアルバムジャケットを手がけていた頃のSMAPだ。

 つまり、曲全体に渡る“パーティー感”、そしてほんの少しだけ織り交ぜられた“シック”なエッセンスという、この絶妙な掛け合わせが“SMAP感”の正体だろう。どちらか一方だけではなく、この二つの要素が程よいバランスで噛み合った結果、今回のような現象が起きたのだと思われる。

乃木坂46 『I see...』

 「I see…」の作曲はyouth case。youth caseは日向坂46やSKE48などにも楽曲を提供している一方で、ジャニーズとの関わりもある作家ユニットだ(嵐「Love so sweet」「Step and Go」etc…)。今回、両者のファンに起きた予想外の邂逅は、秋元系グループとジャニーズの両者に関わる作家が生んだ、必然の現象だったのかもしれない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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