コーチェラ、サマソニ、Reframe……Perfumeが世界中に真価を知らしめた2019年最重要ステージを振り返る

 『Reframe 2019』は、2017年12月21日に放送された『Perfume × TECHNOLOGY 2017』(NHK総合)と関連して、翌年3月20日、21日にNHKホールで開催された、スペシャルライブ『This is NIPPON プレミアムシアター「Perfume×TECHNOLOGY」presents "Reframe"』の最新バージョン。通常のPerfume公演と違い、本編ではMCを一切行わない。「Perfume×TECHNOLOGY」と銘打っているように、ライゾマのテクノロジーを結集した1時間の「インスタレーション」なのだ。

Reframeより「FUSION」「願い」「無限未来」ノーカット版【Perfume×TECHNOLOGY】

 ライゾマによるメディアアートに共通しているのは、そのどれもが「データの集積と解析に基づく新たな解釈」であること。『Reframe 2019』も同様で、例えばオープニングでPerfumeの過去の映像をコラージュした「Recollect(Reframe2019 ver)」では、過去の振り付けから機械学習で姿勢の推定を行い、似ている振り付けのシーンを並べるシステムを導入。他にも、ステージ上で彼女たちの声のデータを「集積」「解析」しリアルタイムでビートを生成、照明や映像にその場で反映させる「Record(Reframe2019 ver)」や、『Reframe2019』に繋がるこれまでライブ会場や歴史をデータビジュアリゼーション(データ視覚化)し、楽曲・ダンスで振り返る「Kiseki – Visualization」など、ほとんどの演出がデータの集積と解析に基づいている。

「この『Reframe』は、私たちのこれまでのデータや歴史を”再構築=Reframe”して、自分たちの未来へとつなげる作品です」

 本公演のアンコールで、そう話していたあ〜ちゃん。来年明けには、ベストアルバムを携えての全国ドームツアーが予定されているが、Perfumeの表現活動の中でも最も前衛的な『Reframe』で自らの過去を再構築した彼女たちが、『東京オリンピック・パラリンピック』が開催される2020年にどのような展開を見せるのか。大本命といわれている開会式でのパフォーマンスは、果たして実現するのか。期待に胸は膨らむ一方だ。

■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。ブログFacebookTwitter

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