嵐、デジタル&サブスク楽曲配信でチャートはどう動いた? ビルボード指標にSpotify追加も追い風となるか
11月3日日曜日、CDデビュー20周年を迎えた嵐による様々な発表は絶大なインパクトを残しました。
各種SNSアカウントの開設もさることながら、音楽面ではデビュー曲「A・RA・SHI」(1999年)から最新作「BRAVE」(2019年)までの全シングル表題曲のダウンロードおよびサブスクリプションサービスの解禁が大きなトピックに。そして、ニューシングル「Turning Up」をデジタルのみでリリースしたことはなにより衝撃的でした。ジャニーズ事務所所属歌手がシングルをCD以外の形態でリリースするとは今まで考えられなかったからです。
「Turning Up」は11月3日19時に解禁。ミュージックビデオは嵐の公式YouTubeチャンネルで同日21時にプレミア公開され、嵐のメンバーもチャットに参加。それにより「Turning Up」は、公開からわずか5時間で3万近いダウンロードを記録し、今週水曜に発表された11月11日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)ではダウンロード指標で首位、そして総合では10位に初登場を果たしたのです(参照:Billboard JAPAN)。サブスクリプションサービスの再生回数を示すストリーミング指標、そして動画再生指標では300位以内に入りませんでしたが、日曜までを集計期間とする週間チャートにおいて解禁からわずか数時間の曲がトップ10入りしたのですから、嵐の凄さを感じずにはいられません。
現在日本における主な音楽チャートは2つ。ビルボードジャパンソングスチャートは時代の変化に合わせて新しい指標を導入し、現在は8つの指標(シングルCDセールス、ダウンロード、ストリーミング、ラジオエアプレイ、ルックアップ、Twitter、動画再生およびカラオケ)で構成。また2018年度からはシングルCDセールスに独自の計算係数を用いることで極度にセールスの高い作品を適正値に補正するなど、ビルボードジャパンソングスチャートは社会的なヒットの鑑になるべく常に進化しています(参照:Billboard JAPAN)。
一方、シングルチャートにおいて高い認知度を誇るオリコンは長いことCDランキングのみ(レコード等も含まれますが売上の大半はCDゆえ、CDランキングと記載)でしたが、今年度からはダウンロードおよびストリーミングを加えた合算ランキングが登場。その合算ランキングではシングルCDセールスに計算係数が適用されないため、ダウンロードがいくら高くてもCDを多く売り上げた曲が有利となります。さらにオリコンは、CDと合算どちらのランキングが重要か示していないことから、仮に合算で敗れてもCDのみで勝った場合は首位を獲得したと説明出来るのです(参照:オリコン)。
高いCDセールスを誇るシングルがオリコンで有利になるのは勿論ですが、実はビルボードジャパンにおいても同様。瞬間風速的にシングルCDセールスが高ければ、計算係数が適用されても1位になる傾向が強い。しかし、今年度ビルボードジャパンソングスチャートで首位を獲得した曲の翌週の動向をみれば、発売初週のシングルCDセールスが高い曲の大半は翌週急降下しており、ヒットしたとは言い切れません(参照:筆者ブログ)。