『EXTERMINATOR』インタビュー

般若のライブを支えるDJ FUMIRATCHが語る、面白いラッパーの条件

 般若やSHINGO★西成らを擁する不動のヒップホップレーベル、昭和レコード。同レーベルに所属し、各アーティストへの楽曲提供や般若のライブDJ、はたまたサウンドエンジニアとしても知られる男がこのDJ FUMIRATCHだ。今年1月に開催された記念すべき般若の初武道館公演でも、その背後からしっかりと主役の姿を支えていたFUMIRATCHが、記念すべき1stアルバムを完成させた。地域や世代も幅広い役者が揃ったこの『EXTERMINATOR』、どんな想いで完成させた作品なのか、彼のこれまでのキャリアを振り返りつつ語ってもらった。(渡辺志保)

米軍基地がある地元の青森・三沢で育まれたHIPHOPヴァイヴス


ーーまず、DJを志したきっかけやタイミングは?

DJ FUMIRATCH:13歳くらいのとき、DJ KENTAROさんがテレビに出ているのを見たり、音楽番組とかで(アーティストの)後ろでライブDJをやっている人を見たりして、興味を持ったんです。自分が青森の三沢出身なんですが、そこは東北でも有名なヒップホップの街で、小さい街だけどレコ屋もあって、街の書店にもミックスCDが置いてあるような環境だったんです。商店街を歩いていてもヒップホップが流れているようなところだったんで、ヒップホップにハマっていったのは自然な流れもあったと思います。それで、14歳くらいでターンテーブルを買ったんです。

ーー最初はどんなDJスタイルだったんですか?

DJ FUMIRATCH:まずは(DJ)バトルの技術を学ぼうと思って、ひたすら技を磨いていましたね。地元にあったレコ屋で働いていたDJ SONICという方が「教えてあげる」と言ってくれて。そこから、レコ屋に通う日々が始まりました。

ーー実際に、その頃から地元のクラブでDJ活動をしていた? 三沢といえば米軍基地もあって、様々なヴァイブスのクラブがあるというイメージです。

DJ FUMIRATCH:当時はまだ高校生だったので年齢制限があったんですけど、たまにバーでDJをやらせてもらうことがあって。8、9割が外国人だったんですけど、流行りのサウスとかではなく、自分が好きなJ・ディラとかアンダーグラウンドなヒップホップの音をかけてましたね。

 そのあと、18歳で大学に進学するタイミングで上京したんですけど、バトルへのモチベーションも上がらなくなってしまって、知り合いもいなくてクラブでDJプレイするのもキツい状況になって。そこで、般若さんがHPでライブDJを募集していたのを見つけたんですよ。(バトルの)ショウケースをやっていた15分くらいの映像もくっつけて応募したんです。結局、それがきっかけで受かったみたいで。

ーー上京して割と間も無く、般若さんのライブDJを務めるとはかなり緊張しそうですよね……。

DJ FUMIRATCH:もともと地元にいる時から、ラッパーと組んで一緒に活動してたことがあるんですけど、そのラッパーっていうのが、SANABAGUN.の岩間ーーMC リベラル(a.k.a岩間俊樹)ってヤツなんです。俺がトラックを作ってDJをやり、あいつが歌詞を書いてライブをする、って活動を経験していたので、ライブDJ的な経験はあったんです。般若さんとの最初の現場が19歳の時だったので、もう9年前になりますね。

ーー今回の初アルバム『EXTERMINATOR』はその9年間の集大成というか、やっと! というタイミングですよね。

DJ FUMIRATCH:本当はもっと早く出したかったですね。

ーーアルバム全編を聴くと、メロディアスな楽曲からトレンドを感じさせるサウンドまでが詰まっていて、改めてFUMIRATCHさんの輪郭が見えたような気がしました。

DJ FUMIRATCH:自分の色がない、と思われたいんですよ。曲を聴いたら「この人かな」と分かるビートってあるじゃないですか。でも、そうじゃなくて、今回は「色んなことができるよ」っていうのを提示したかったんです。一貫性があるというか、同じような感じになってしまうのがむしろ嫌で。なので、色んなサウンドに挑戦しました。

ーー今作のコンセプトみたいなものは早くから決めていたんですか?

DJ FUMIRATCH:特にコンセプトはないんですけど、人選にはこだわって。個人的に聴いた後に言葉が残るアーティストが好きなんです。昭和レコードのアーティストはまさにそういう感じですよね。なので、そこを重視して人選しました。

 だから、参加アーティストの組み合わせが決まってから作ったビートの方が多いかもしれない。「1枚目はこの人を呼びたいな」という自分の希望があったので、そこから落とし込んでいった感じです。

ーーなるほど。HANGやDEVINなど、各地方の若い世代のMCらをフィーチャーしているのも、今作の特色の一つかなと思って。

DJ FUMIRATCH:DEVINはうまい棒を題材にした「Dream Sticks」が発表された時に、地元の先輩がその映像に関わっていたんですよ。SNSで知って面白かったから「こいつ、何すか?」って聞いて。そしたら三沢から出てきた若いヤツだっていうから、連絡先を教えてもらって、それで「曲やろう」って。すぐに作りましたね、ノリで。

ーー色んなエリアや世代のラッパーをフィーチャーすることは念頭にありましたか?

DJ FUMIRATCH:そうですね。幅広い年代のラッパーを入れることは意識していました。

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