『THE BEST』インタビュー

jealkbが語る、ライブに全力を注ぐ活動スタイル 結成14年目だからこそ生まれた新曲秘話も

「これが最後だ」という思いで活動を続けていく


――「ライブで楽しめる」というコンセプトはありつつも、収録される楽曲には様々なタイプのものがあって。それらに共通している特徴ってどんなものなんですかね?

haderu:うちには振付先導係(hideki)がいるんで、お客さんと振付で一体になれるっていうのが一番の特徴だとは思いますね。今回のアルバムには基本的にそういう曲が集まってます。

hideki:あとは曲自体にパワーのあるものですよね。僕がそこまで煽らずともライブでワーッと盛り上がる曲というか。そういう曲も今回はかなり入ってます。

haderu:もちろんね、今回収録されなかったからと言ってライブで盛り上がらないわけではないんですよ。実際、ベストに入れたかった曲はもっとたくさんあったし。まぁでもこの2枚を聴いてもらえれば今のjealkbのライブのことはわかってもらえると思うし、その上で遊びに来てもらえれば絶対楽しめるだろうなっていう手ごたえはありますよね。

hideki:ライブのセットリストをイメージした曲順にしたから、よりわかりやすい感じにもなってると思うし。

――曲順には2枚組ならではの遊び心が感じられるところもありますよね。

haderu:曲順はsapotoがだいたい決めたんだよね。

sapoto:そうですね。大事にしたのはセトリのような並びであることと、シンメトリックな2枚になればいいかなっていうイメージで。

hideki:曲のスピード感が似てる2曲を、それぞれのディスクの同じ場所に配置したりとか。ディスク1の9曲目に「FIREBIRD」を、ディスク2の9曲目に「FIREBEEF」を入れて、“鳥”と“牛”を対にしてみたりとか。

――edieeさん入魂の「タルトタタン」がそれぞれ7曲目に収録されていたり。

ediee:そうですね、はい。ありがとうございます(笑)!

elsa:「タルトタタン」の前の曲はどちらもedieeの曲だしね。そういったシンメトリー感を楽しみながら並べられたところはあったと思います。

hideki:さらに、ディスク1の頭とディスク2のケツを新曲にしたのもこだわりではありますよね。今のjealkbのメッセージで過去の曲たちを挟んでやるっていう。

――そう、今回のベスト盤には2編の新曲が収録されています。頭の新曲は疾走感のあるロックチューン「風花雪月」ですね。

haderu:jealkbを結成した当初って、「バンドがいつなくなるか?」とか「自分はいつ死ぬのか?」みたいなことってまったく考えてなかったんですよ。でも結成から14年経ち、年齢を重ねたことでそういうことをリアルに考えるようになったというか。メンバーの誰か1人が欠けたらライブもできなくなるし、お客さんとも会えなくなるわけですからね。だから僕らはこれからも「これが最後だ」という思いで活動を続けていくし、お客さんにもそういう気持ちで向き合ってもらえたらなって思うんです。この曲の歌詞ではそんなことを書きましたね。

elsa:そんなhaderuのメッセージを受け取りつつ、サウンドはライブで楽しめることを意識して作っていきました。リズムパターンがどんどん展開していくアイデアはhidekiが出してくれたもので。jealkbではあまりやったことのないパターンだったし、最初に作ってたデモからかなり形を変えましたけど、結果的にすごくいい仕上がりになったかなと。

hideki:僕がライブでお客さんを盛り上げるときって、けっこうリズムがきっかけになることが多いんですよ。だったら最初から煽りやすいドラムパターンを演奏してもらったほうが話が早いよなと思って。僕は音楽の知識やルールが全然わからないから、「そう来る?」「ちょっと気持ち悪いかも」ってなる場合も多々あったんですけど、「じゃどうすれば気持ち悪くなくなりますかね?」って何度もやりとりして作ってもらいました。結果、聴いててライブの画がパッと思い浮かぶ曲になったんで、ほんと良かったなって思いますね。

haderu:14年やってきて、そういう話し合いがやっとできるようになったんだと思うんですよね。それによってライブで盛り上がる曲と自分らがいいと思える曲が直結するようになったとも思うし。

――今まではそこが直結していなかった?

haderu:うん。そうだったと思います。今回のベストにシングル曲がほとんど入っていないっていうのがその証拠でもあるんじゃないかな。自分らではいい曲だと思って作ってるんだけど、それがライブでは思ったほど盛り上がらないっていう経験は、この14年の間にはたくさん経験してきましたから。

――いい曲であることとライブで盛り上がる曲であることの距離は、昨年9月にリリースされたミニアルバム『Mix Up Sonic』でグッと縮まった印象がありましたよね。メンバーのみなさんもそこに手ごたえを感じていましたし。

haderu:確かにそうでしたよね。でも、今思うとあれはあれでちょっと違った方向に行っちゃったような気もしてて(笑)。ピコピコしたサウンドに頼っちゃったことで、今度はjealkb色が薄まってしまったというか。あそこに入ってた6曲は全部ライブで活躍してくれると思ってたんだけど……。

elsa:今回のベストに入ったのは「煽情」と「ジガサガ」の2曲だけだもんね。

haderu:そう。しかもその2曲の盛り上がりは、自分らが想定していたのとはまた違った感じだったし。

――なるほど。そう考えると、jealkbはバンドとしてのアイデンティティを確立するまでに相当もがき続けてきたってことなんでしょうね。

haderu:うん、相当もがいてるよね。

hideki:もがきまくってますね。まぁでもそれがあったからこそ、今このタイミングの自分たちに行きついたというのあると思うんですよ。もちろん1年後にこのベストを聴いてどう感じてるかはわかんないですよ。実際、今回録り直した曲たちや新曲をライブでやってみたら思ったような反応が来ない可能性もあるわけだし。でも今の自分たちの全力を注ぎ込めたし、進むべき方向はしっかり定まってきたような気はするんですよね。

haderu:そうだね。メンバーみんなの思考の焦点が定まってきてるし、jealkbのパフォーマンスについてもひとつの“点”になってきているような気はするかな。

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