jealkbが明かす“再起動”の手応え「音楽人として話を聞いてくれる場所が増えてきた」

jealkbが明かす“再起動”の手応え

 田村淳(ロンドンブーツ1号2号)、大川知英、森本英樹(ともにニブンノゴ!)らの「20歳年下の弟」を中心に結成されたヴィジュアル系バンド・jealkbが、2016年12月2日に渋谷O-EASTでワンマンライブ『夢路薔薇ノ誓 2016』を開催。この模様に副音声と新録映像を加えた特別番組が、2月26日16時よりテレ朝チャンネル1でオンエアされる。リアルサウンドは今回、番組の収録に参加し、インタビューコーナーでの取材を担当。当記事ではその一部を掲載する。2016年11月に約3年ぶりのシングルを自主レーベルから発売するなど、結成から11年が経過し、新たな局面を迎えるバンドの現在地について話を訊いた。(編集部)

「同期がなくても演奏できる曲が増えた」(haderu)

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――今回の番組は2016年12月2日に開催された『夢路薔薇ノ誓 2016』を振り返るものですが、この公演はまさに1年の集大成といっても過言では無いものでしたよね。冒頭に新曲「reboot」を持ってくるなど、気合いも十分で。

haderu:セットリストも色々悩んだんですけど、edieeがどうしても1曲目に持っていきたいと。

ediee:いつも曲を聴きながらライブでのパフォーマンスを想像するんですけど、「reboot」は「1発目に絶対合うな」と確信したんです。

――まさにバチっとハマっていましたし、ライブに最初から勢いが付いた大きな要因ではないかと。

haderu:起爆剤になりましたよね。あと、勢いがしっかり付いたのは、同期を切る曲を減らしたことが大きいかもしれません。同期を増やした時期もあったんですが、ギターのsapotoが正式メンバーとして加入したことにより、同期がなくても演奏できる曲が増えたので。sapoto自体もそこまで同期が好きではないので。

sapoto:シークエンスに囚われてしまって、段取りが出来ることで本来伝えるべきものが削ぎ落とされる感覚になるんです。

――縦を揃えることに集中しちゃうんですよね。

sapoto:そうですね。

elsa:必要な曲もあるけどね。

haderu:ライブを楽しませるためには、同期の曲ばかりだとダメなんだとようやく気づいて、こうしてライブを通してjealkbの最高の形を提示できたと思います。

――やはりsapotoさんの加入はバンドに大きな影響を与えていたんですね。それによって楽曲制作の方法も変わりましたか?

haderu:楽曲制作に関しては、ずっとelsa1人が担当してたんですけど、色んなjealkbの形を見せるために、色んな曲があってもいいんじゃないかという話になって、edieeが作曲を始めたんです。でも、edieeの作る曲の世界観が独特で、ボーカルとしては歌いたい曲とそうでない曲があって……(笑)。

――作り方に特徴があったりするんでしょうか。

ediee:音楽と言う概念をあまり考えず、思ったものを音にして、それをsapotoやelsaが修正してくれるというのが今の流れです。

haderu:曲の作り方が凄いんですよ。ディスカバリーチャンネルの映像を見ながら、鼻歌を作って、それが曲になったのが「アイラブアニマル」で。これ、作った時に何見てたんだっけ?

ediee:アニマルプラネットです。

ーー本当に独特な世界観ですね。

haderu:edieeさんの楽曲は、音の解釈が違うんでしょ?

elsa:小節が4とか8とか16じゃなくて、5や7といった奇数だったり、頭が分からなくなる様なものもある。

sapoto:大体、メロの構成は一緒ですしね。

elsa:紐解いてみたら全部一緒で。これをどういう風に違うものとして聴かせるかというのがこちらの仕事になっているんですよ。

haderu:でもediee作の楽曲が入ってくるようになって2〜3年になるんですけど、バンドの幅は絶対に広がっているので、なくてはならないですね。そういえば、今ちょうどアルバムの制作期間で、つい昨日、edieeの曲に詩を乗っけようと思ったんですけど、全然歌詞が出てこなくて。頭を5、6発ぶん殴ったんですよ(笑)。

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――作詞の時も、どのメンバーが作ったかによって乗せやすい、乗せにくいというのがありそうですね。

haderu:sapotoやelsaは乗っけやすいですよ。グループLINEで歌詞を送っても、みんな「良いですね!」と反応してくれるし。でも、昨日作ったediee曲の歌詞は、edieeとdunch以外既読スルーで(笑)。

dunch:僕、edieeの作る曲好きなんですよ。「アイラブアニマル」も、すごくラブソングに聞こえたりして。本人に「こういう意味もあるんじゃないの?」と聞いてみたら、「全然違います、何も考えてません」って(笑)。

ーー先ほど挙がった「アイラブアニマル」を含め、個性的な楽曲たちを一つのライブの中で、綺麗にバッケージする上手さがjealkbにはあるように感じます。

haderu:セットリストに関しては、hidekiが「ここは振付をこうすると、お客さんと一緒に盛り上がれる」と提案してくれたり、楽曲についても「この曲は皆さんどういう風にお客さん盛り上げようと思って作曲してますか?」という話が飛んでくるんです。

hideki:楽曲によっては、僕がジュアラーを盛り上げるための振り付けを入れることを考えて作曲してくれてるんだろうなというものもあるんです。ただ、その意図が全く分からないものもあるので、そこはこちらが考えて提案しますね。ムービーを撮ってみんなに見せたり。ライブで一回やってみて作り変えることもあります。

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――だからこそ、ライブパフォーマンスに一体感が生まれるんですね。jealkbのライブは、ヴィジュアル系が築いてきたパフォーマンスの美味しいところを抽出していて、見る人が見れば懐かしさと面白さが同居する貴重なものだと思うんですよ。でも、初見の人にとっても敷居が低くて楽しみやすい。

haderu:ライブに関しては、現場に来てもらうのが一番で、口で説明しても100%は伝わらないというもどかしさが毎回あるんですけど、やっぱり振付先導係のhidekiがいるのはお大きいですよ。まあ、揃ってなかったら平気で途中で止めたりしますけどね(笑)。

dunch:ただ、止めた後の方がなぜか熱量が上がるんですよ。

haderu:不思議だよね。普通のバンドだったら、多分どんなにミスしてもそのまま走り出すのに。

――新しいことを取り入れるのにもすごく貪欲ですよね。今回だと新曲で“戻りガツオ”を題材にした「Reverse Bonito」は、Jin-Macineからインスパイアを受けたものだとMCでも説明していました。ライブの演出で他バンドのアイデアを取り入れることに関しては、どのような形で成立させているのでしょうか。

haderu:対バンしたときに、共演バンドのパフォーマンスでお客さんが凄く笑顔になってるものをみて、自分も楽しいなと思ったら取り入れます。それはライブや音楽以外の、他のジャンルからアイデアが生まれたときも同じですね。

ediee:もちろん、そのままではなく自分たちなりに変えて、アレンジしたり。それが合わなければ止めますし、とりあえず一回やってみようぜというパターンが多いですね。

haderu:比較的、見て「良かった、これをヒントにやりたい」と話して、本人にも了承を得られたら、次のライブですぐ試したりしますね。La'cryma Christiさんの自己紹介も、一時は取り入れさせていただいていました。でも、dunchの時は自己紹介させてもらえない、みたいなアレンジも入れつつ。

――良い意味でパロディー的なものだと。

haderu:気を付けないと、熱狂的に応援してる人からしたら「馬鹿にしてる」と思われてしまうのですが、もちろんリスペクトがあってのことですし、ご本人たちにも確認したうえでやらせていただいているので、どうか怒らないでいただきたいですね……。

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