『908 FESTIVAL 2019』の“音楽濃度”の高さ KREVAと出演陣によるエンターテインメント精神

 続く三浦大知は「By Myself」でライブをスタート。サビでは先ほどの「Popping!」の振り付けを観客に求めるなど自由度の高さも垣間見せつつ、圧巻の歌とダンスを披露。「(RE)PLAY」に続いては、KREVAを呼び込み「FEVER 勝手にリミックス」で歌とラップの掛け合いを見せる。これまで数々の共演を見せてきた二人の関係性が『908 FESTIVAL』のひとつの軸になっていることを感じさせる。

 「毎年来るたびに沢山の愛に包まれる」と三浦大知が感謝を告げ、お客さんを座らせてしっとりと「片隅」を歌い上げる。「飛行船」でs**t kingzと共に思わず惹きつけられる迫真のパフォーマンスを繰り広げ、「Blizzard」を歌い上げてステージを降りた。

 そして、三浦大知が呼び込みこの日の最後にステージに立ったのは、もちろんKREVA。派手な炎の演出がボルテージをあげた「基準 ~2019 Ver.~」から、「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」ではこの日宏美と共にコーラスをつとめていたSONOMIをフィーチャリングに迎えて歌い上げる。続いて新作アルバム『AFTERMIXTAPE』からの「アイソレーター」ではs**t kingzがリリックの内容を表現したパントマイム風の振り付けを披露し、「敵がいない国」では軽やかなバンドアレンジでの演奏に乗せてラップする。「いやあ、楽しい!」とMCでは満足げな表情も見せる。

 さらには、BONNIE PINKを再びステージに迎え入れ、2004年発売のデビューアルバム『新人クレバ』に収録された「You are the NO.1(Hey DJ!)」を披露。ちなみにこの曲、発表されてから15年経って、ようやくステージでのBONNIE PINKと初共演が実現したという。KREVAは「泣きそうです」と感慨深げな様子だった。

 再び三浦大知を呼び込んだKREVAは「俺たちのメガミックス作りました」と2人が発表してきた楽曲をメガミックスでつなげ、「10年間かかさず披露してきた曲」という「Your Love feat. KREVA」へ。終盤は「音色 ~2019 Ver.~」「C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~」と代表曲を続けてパフォーマンスし、1万2千人の合唱が響いた「Na Na Na ~2019 Ver.~」で本編はフィニッシュした。

 アンコールでは、この日の出演陣が一同に集合。「日々、いろんなところでいろんなエンターテインメントが行われていると思います。でも今日は言わせてください。絶対、ここが一番盛り上がってる!」とKREVAが告げ、「ねぇ パーティはIZUKO?」「ここだ!」の掛け合いで幕を閉じた。

 振り返ると、特に“音楽濃度”が高かったのが、今回の『908 FESTIVAL』だった。ここ数年は「ライミング予備校」など寸劇仕立てのコーナーもあったが、この日はラップと歌と演奏とダンスで一貫したステージ構成。さらに言えば、「KREVAとゲスト」という関係性だけでなく、三浦大知やs**t kingzが各所で活躍することによって様々なバリエーションの結びつきによる出演陣のコラボレーションが展開されたのが大きな特徴だった。

 ソロデビュー15周年のアニバーサリーイヤーを迎え、多種多様の試みを繰り広げてきたKREVA。集まった出演陣も、横浜アリーナを満員にした1万2000人のオーディエンスも、彼の多彩な引き出しとエンターテインメント精神を堪能したのではないだろうか。

(文=柴那典/写真=岸田哲平、中河原理英、本田裕二)

KREVA オフィシャルサイト

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