DracoVirgoが語る、『FGO』テーマ曲以降に見出した“バンドの強み”と“ハイカラ時代からの変化”

DracoVirgo、『FGO』テーマ曲以降の変化

楽曲が僕らの活動を開いてくれる

ーーカップリングについても聞かせてください。まず、「ABRACADABRA」は、元ハイカラのYusukeさんがボーカルで参加している曲ですね。

SASSY:この曲は、これまでにDracoVirgoでつくってきた色々な曲の要素をミクスチャーした曲にしたいと思って、僕がアイデアを出したものでした。そこから少しの間温めていたんですけど、そこにMAAKIIIがいいアイデアを加えてくれて、曲になった感じです。そのときMAAKIIIがつけてくれたメロディが、前のメロディを忘れてしまうほどいいものだったんですよ。ボーカル部分では、デモの時点から掛け合いになるようなメロディをつくっていたので、ここは思い切って「Yusukeに頼んでみよう」という話になりました。ハイカラのときから、自分の曲でYusukeに投げるときは何も伝えずに自由に遊んでもらっていたんですけど、今回もいい形にしてくれました。

MAAKIII:ハイカラのメンバーは本当に、兄弟みたいな存在なので。思い描いていたものが、何の狂いもなく形になった感覚でした。

mACKAz:ベースに関しては、この曲は派手に、手数の多い演奏をしていきました。そういうハイカラの頃からある要素を、今のDracoVirgoの音に消化できたのかな、と思います。

SASSY:アレンジ面では、歌詞とメロディに感じたオリエンタルな雰囲気を、音としてもより加えていくことにしました。

ーーオリエンタルな要素というのは、DracoVirgoの他の曲にも随所に出てくるものですね。

SASSY:そういえば、最近気づいたんですけど、この曲のサビ後のYusukeのリフのようなボーカルが入る部分も、冷静に聴いてみるとちょっと琉球音階っぽいな、と思ったんですよ。

MAAKIII:そういうものって、そもそも楽曲が持つ気配の中に自然と入っているところがあって、やっぱり血は嘘をつかないんだな、と思います。どんな人が何かを発しても、そこには絶対に自分の血のようなものが入ってくると思うので。「ABRACADABRA」の場合は、オリエンタルな要素としては何よりもアラビアンな雰囲気が強いですけど、ちょうど今映画が公開されている『アラジン』のジーニー的な存在が、Yusukeだったのかな、と(笑)。

ーー(笑)。一方で、もうひとつのカップリング曲「“KALMA”」は、mACKAzさんとMAAKIIIさんが作曲した曲ですね。

mACKAz:この曲は、今までDracoVirgoでやったことのない雰囲気のものがほしいと思って、実は一度、「生楽器を入れなくてもいいんじゃないか」と、全部打ち込みで作ってみた曲です。最初はレコーディングの時点でも、生演奏を入れないままにしようと思っていて、もともとは完成形にある中東っぽいフレーズもあまり入っていませんでした。ただ、途中でMAAKIIIから、「もうちょっとそういう要素も入れてみたら?」という悪魔のささやきがあって(笑)。それで、イントロにシタールやガムランをつかって、アレンジが変化しました。

MAAKIII:メロディも歌詞も、その音に呼ばれて変化していった感覚です。いつもそうなんですけど、2人の音に呼ばれてその中を漂っているうちに、景色が広がっていくというか。

ーーつまり、最初からゴールや完成形を決めているわけではない、ということですね。

MAAKIII:そうなんです。そこが本当に楽しいところで、DracoVirgoの場合は自分たちで最初から「こういう曲にするぞ」と決めていくような形でつくってはいないので、私も2人から湧いて出てきたものと一緒に漂って、結果として楽曲がさらに変化していく感覚で。この間別の場所でも言ったんですけど、私たちの作曲って、「垢太郎」だと思うんですよ。

ーー「垢太郎」ですか……?

SASSY:日本昔ばなしの『力太郎』のことですね(笑)。

MAAKIII:自分たちの子どもが欲しいおじいさんとおばあさんが、自分の体をこすって出た垢をこねて、人の形をつくっていたら、魂が吹き込まれて本当の子どもになる、という話のことです(笑)。なので、私たちも最終的に何が出るのか分からないまま、出たものをこねていくのがDracoVirgoの作曲作業なんです。

SASSY:そのこねたものに憑依する魂がMAAKIIIなんですよ(笑)。僕らとしてもMAAKIIIの歌や歌詞が乗って、楽曲が広がっていく瞬間は、毎回刺激的に感じます。毎回、自分の視野にはないものを見せてくれるので。今の時代、ミュージシャンには楽曲を計算してつくることができる人たちが多いと思うんですけど、DracoVirgoって、そういう意味では化石みたいなつくりかたをしていると思うんですよ(笑)。でも、それが楽しいんですよね。

MAAKIII:本当に、私たちも「毎回どんな曲ができるんだろう?」と楽しみにしていて。

SASSY:そういうスタンスは、これからも大切にしたいな、と思っていますね。曲が僕らの活動を開いてくれるというか、できた曲に対して、僕らが寄り添っていけるところはそうしていこう、と思っているので。

MAAKIII:考えてみたら、それがハイカラのときとの大きな違いなのかもしれないです。あの頃は1年間に2枚アルバムを出したこともあって、もちろん、その経験が私たちの血となり肉となり、今に活きていると思うんですけど、今はそのうえで、もっと自分たちの時計の中で音楽と一緒に時間を過ごしているような感覚があると思っているので。

 それに、ライブでもそうですし、他のこともそうですけど、私たちが生み出した曲が、色々な人と出会って、私たちも気づかなかった魅力を教えてもらえることの楽しさもじっくりと感じている。そういういい循環を、止めたくないなと思っています。9月19日のライブのタイトル『DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”』も、そうやって会場に来てくれる人たちと一緒に虹をつくれたらいいな、と思ってつけたタイトルなんです。

SASSY:僕らの場合、音源ももちろん頑張ってつくっていますけど、そこには収まらない要素がライブにこそあると思っているので、ライブの世界観も含めて、色んな人に観てもらえたらいいな、と思っています。そのために、いい循環を続けていけたら嬉しいですね。

mACKAz:そうですね。まだライブをしに行けていない場所もたくさんあるので……これから色々な場所に行って、お客さんと一緒に「笑顔という名の虹をつくっていきたいな」と。

MAAKIII&SASSY:……おっ? どうした?(笑)。

mACKAz:(笑)。何を言おうか考えてて、「これだ!」と思ったんだよ!

MAAKIII:綺麗にまとまりましたね(笑)。それ、今後のインタビューで毎回言ってね!

(取材・文=杉山仁)

■リリース情報
シングル『ハジメノウタ』
2019年9月4日発売

・初回限定「ありふれた職業で世界最強」盤
¥1,296(税込)
※初回生産限定スリーブケース仕様(初回「ありふれた職業で世界最強」盤終了次第、 スリーブケース無しの通常盤(UMCK-5680) に切り替わります)

・通常盤
¥1,296(税込)

<収録曲>
1.ハジメノウタ
2.ABRACADABRA
3.“KALMA”

■ライブ情報
『DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”』
9月19日(木)東京・Shibuya WWW
開場18:30/開演19:00
<チケット>
スタンディング¥3,800(税込/D代別)
※3歳以上チケット必要
◎一般発売中!
詳細ページはこちら

DracoVirgo オフィシャルHP

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる