『Don’t Let Me Go』インタビュー

Baby Kiyが音楽で表現する、感情に正直に生きることの大切さ「イケてることをやり続けていたい」

今しか唄えない歌と年齢を重ねても唄いたい歌

――先ほど曲作りに変化があらわれていると話していましたけど、最近はどんなことを思い描きながら曲を生み出すことが多いですか?

Baby Kiy:最近はね、みんなで一緒にライブで楽しめるような楽曲を作ろうって意識することがけっこうありますね。私のファンの子の中には、私以外のライブに行ったことのない人が多いのかなって思うんです。だから、自然に体が動いちゃったり、手拍子したくなるような曲を作ることで、ライブは自由に楽しめばいいんだよっていうことを教えてあげられたらいいなって。あと、私は今年で27歳になるんですけど、20代でしか歌えない楽曲を意識的に作ってるところもあるかな。今回のEPに入ってる「Don’t Let Me Go」でも、〈目が離せないほど夢中にさせてあげる〉とか今しか言えないような言葉を書いてますし。この歌詞を40歳になったら歌えるかなって(笑)。

――その時々にしか書けないことを刻む楽曲がある一方で、レパートリーの中には普遍的なことを歌った楽曲もありますよね。

Baby Kiy:両方あります。それこそ「Rainbow」は、たぶん50歳になっても60歳になっても歌い続けられると思うんですよね。きっと年齢が変わっても、その時代ごとの味が出るところもあるだろうし。「Don’t Let Me Go」はそこを目指した曲ではなく、「この夏をどれだけ楽しめるか」みたいなテーマだから、それはそれでいい。いろんなタイプの楽曲があっていいわけですもんね。

――ご自身の歌声に関してはどう感じていますか?

Baby Kiy:ボイトレに通ったこともあるんですけど、レコーディングの時に元々の歌い方のほうがいいって言われて元に戻したんです。テクニック的なことは確かにボイトレに通ったほうが上手くなるとは思うんだけど、それよりも「伝わる音楽」にフォーカスしています。

――Kiyさんの場合、いわゆる歌姫的なボーカルスタイルではなく、ガーリーで甘さや切なさの成分を含んだナチュラルな声が大きな魅力ですからね。

Baby Kiy:あーうれしい! 私が大事にしているのは、曲ができるきっかけになった景色を思い出しながら、ニュアンスをいかに表現するかなんですよね。とは言え、基本はそのときのテンションが全部声に出るタイプでもあるから、最初のテイクがだいたい一番いいんですよ。なんならプリプロのテイクが一番良かったりもするし。飽きてきたら、それがそのまま声に出ちゃったりもするので(笑)、レコーディングは短期集中型ですね。

――今回リリースされたデジタルEP『Don’t Let Me Go』には、Kiyさんの自然体な生き方がタイプの異なる4曲でしっかり表現されているように思います。仕上がりに関してはどう感じていますか?

Baby Kiy:すごくいい仕上がりになった思う!  “夏に聴きたい曲”っていうテーマの元に作ったところもあったから、海に行く車の中とか、切ない夜とか、夏のいろんなシチュエーションで楽しんでもらえたらうれしいですね。

――タイトル曲となる「Don’t Let Me Go」は、夏に対するワクワクした気持ちを勢いづけてくれるアッパーなナンバーですね。

Baby Kiy:走り出したくなるような、すごく爽やかな雰囲気の曲だから、みんな勢いづけー(笑)! 実は今回のEP用に違う曲を作ってたんだけど、その制作に行き詰まりすぎてて。急遽、30分くらいで、そのときに書きたかったことをぶわっと書いたのがこの曲だったんですよ。そうしたら「これいいじゃん」ってことになり、リード曲にまでなっちゃったっていう(笑)。

――フラストレーションをきっかけに曲が生まれることはけっこう多いんですか?

Baby Kiy:けっこうありますね。ほんとにその時々の感情に、正直に生きてる人だから(笑)。すっごい行き詰まったことでいい曲が書けることもあるし、書きたいことが明確にあれば一瞬でできちゃうこともあるし。意外なところにも曲作りのきっかけがあったりしますからね。以前はギターの弾き語りだけで曲作りをしていたけど、去年の夏に出したアルバム(2ndミニアルバム『Never get enough』)の頃からはトラック先行で曲作りもするようになったんですよ。それによって生まれてくる曲調が変わってきたりもしているので、そこはおもしろいなって思います。

みんなが喜んでくれるパフォーマンスをしたい

――2曲目の「Hey Darling」は、これまでライブでのみ披露されてきた曲なんですよね。ファンにとっては待望の音源化です。

Baby Kiy:この曲は大好きだから、ようやく音源にできてうれしい! 元々、切ないテイストのロックが好きだから、グッと来るエレキギターのアルペジオが鳴っているような曲を自分でもやってみたかったんです。キャッチーな曲ではないけど、そこがいいかなって。私自身、切ない曲が大好きだから、こういう雰囲気の曲を書くのはすごく好きなんです。

――歌声も切なさ全開ですね。

Baby Kiy:メロディに大きな起伏があるタイプじゃないから、歌はけっこう難しいんです。あまり淡々と歌いすぎるとつまらない仕上がりになってしまうから、息づかいとか言葉の使い方で上手くニュアンスが出せた気がします。

――「Lazy Boy」と「To The Paradise」にはKiyさんのアイデンティティでもある海のエッセンスが色濃く出ている印象です。

Baby Kiy:「Lazy Boy」は、Roxyのタイアップが決まったことで作った曲だったんです。Roxyっぽいちょっとリラックスした雰囲気のアコースティックサウンドに、ちょっと“Lazy”な彼との生活を歌詞として書いて。

――この曲に出てくるカップルは、すごく心地いい雰囲気ですよね。

Baby Kiy:歌詞では彼のことを“Lazy”として描いたけど、これほんとは自分のことなんですよ。私は実際、すごくLazyな人なんだけど、それを「私はLazy Girl」って自分で歌うより「彼は“Lazy Boy”だけど、それでも好きだよ」って言ってるほうがかわいいかなと思って。しかも、この曲録ったときは仕事が詰まりすぎてて、スタッフも含めてみんなLazyだったのね。でもそれが逆にうまく作用して、いい歌が録れたっていう(笑)。

――「To The Paradise」は夏の夕暮れが似合いそうな雰囲気です。

Baby Kiy:うん。「To The Paradise」は今までにやったことがないタイプの曲ですね。今回のEPにはライブでずっと歌ってきた「Hey Darling」みたいな曲もあるから、Baby Kiyらしいニュアンスはしっかり残しつつも、新しい表情もしっかり見せられた。すごくいいバランスの作品になったと思いますね。

――本作のリリース後、10月には待望のツアー『BABY KIY TOUR 2019“All About You”』が開催されますね。

Baby Kiy:すごく楽しみです! 楽曲制作のときは引きこもりにならなきゃいけないじゃないですか。ミュージシャンって一見、キラキラしてるように見えるけど、実際は地道な作業ばっかり(笑)。もちろんそれも大事だし、モノづくりをする楽しみはあるんだけど、私はやっぱり直接お客さんに会えるワンマンとかイベントとかでライブするのが大好きなんですよね。缶詰になって作ったものを直接、生の空気で披露することができる場だから。

――ステージングにもそうとうこだわるそうですね。

Baby Kiy:うん。超こだわり屋さん(笑)。わざわざ生の私を観に、私の音楽を聴きにきてくれるからには、みんなが喜んでくれるパフォーマンスをしたいじゃないですか。ステージセットに関しても、自分のイメージをしっかり伝えて作ってもらうし。装飾に使う花は、細かくお花屋さんまで指定しますから(笑)。そうやって自分のこだわりが詰まった空間でできるライブはやっぱり最高なんです。このEPを聴いてBaby Kiyに興味を持ってくれた人はぜひ遊びに来て欲しいです。

――音楽活動に関して、今後何かやってみたいこともあります?

Baby Kiy:かっこいいミュージシャンとコラボしたいかな。実際コラボってすっごく楽しいことだけど、レーベルが違うからとか、そういった理由で実現しないこともけっこうあったりして……。

――あはは。確かにいろんなしがらみがあったりしますからね。

Baby Kiy:でも音楽は自由なんだから、やりたいことをやりたいようにできるのが理想だし、楽しいことが大好きだから私はいろんな人と今後はどんどんセッションしていきたいなって思う。

――そういったKiyさんの自由なスタンスが業界のしがらみをぶっ壊したら痛快ですよね。

Baby Kiy:あははは。そうだよね。それ最高ですよね(笑)。今後も私らしく自由に、いろんなことをやっていきたいなって思います。

(取材・文=もりひでゆき/写真=三橋優美子)

Baby Kiy『Don’t Let Me Go』

■配信リリース
『Don’t Let Me Go』
2019年8月7日配信スタート
1.Don’t Let Me Go
2.Hey Darling
3.Lazy Boy
4.To The Paradise

■ライブ情報
2019年全国TOUR

10月4日(金)福岡INSA
開場/開演 18:00/19:00
キョードー西日本 0570-09-2424(平日・土曜11:00-22:00)

10月10日(木)伏見JAMMIN'
開場/開演 18:00/19:00
サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

10月11日(金)梅田TRAD
開場/開演 18:00/19:00
サウンドクリエーター 06-6357-4400

10月22日(火・祝)日本橋三井ホール
開場/開演 17:00/18:00
ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
福岡/名古屋/大阪:All Standing(整理番号有り) 前売:¥4,000(税込) 当日:¥4,500(税込)
東京:All Standing(整理番号有り) 前売:¥4,500(税込) 当日:¥5,000(税込)
チケット一般発売:9月2日(月) 10時~

<FC情報>
年会費コース:¥5,400(税込)
月会費コース:¥540(税込)
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