ポルノグラフィティが体現してきた故郷 因島への愛 『音楽の日』中継パフォーマンスの特別さ
「わしらがポルノグラフィティじゃ!」
ライブで毎回叫ぶ、広島弁を交えた言葉からも故郷への愛が溢れる。これほどまでに地元を愛しているアーティストはなかなかいない。“青影トンネル”“折古の浜”“土生港”など、ポルノグラフィティの曲には故郷・因島の地名が登場するものもあり、今やちょっとした観光名所になっている。
そんな彼らは昨年9月、『しまなみロマンスポルノ'18~Deep Breath~』と題して広島県立びんご運動公園陸上競技場にて凱旋野外ライブを開催した。西日本豪雨の被害を受けた広島、愛媛、岡山に収益をすべて寄付するという並々ならぬ覚悟を感じる公演。当日の会場には広島ならではのフードエリア、因島のお土産を購入できるエリアなどもあり、ファンを大好きな地元に招くことができた、という喜びに溢れているかのようだった。ライブ中は豊かな自然に囲まれ、2人が感極まった表情を見せる場面もあり、いかに地元を愛しているか、そして地元から愛されているかが伝わってきた。
しかし2日目、大雨による避難勧告・警報が発令されライブは中止に。1日目に参加していた筆者は、尾道市のホテルの窓から残念そうに会場行きのバスを降りていくずぶ濡れの観客を見て悔しいような寂しいような、何とも言えない気持ちになったことをよく覚えている。もちろん誰よりも悔しかったのはポルノグラフィティの2人だったはずだ(2018年9月22日放送NHK『SONGS』でその姿が見られる)。その後『ポルノグラフィティ “しまなみロマンスポルノ’18 〜THE LIVE VIEWING〜”』として、1日目の公演の模様と因島から生中継でのライブを全国の映画館で上映。ここで“リベンジ”を果たしたと言えるが、きっとライブやライブビューイングを見た多くの観客が、また美しい瀬戸内海をバックにパフォーマンスしてほしい、という思いを抱いたのではないだろうか。