『Hey Hey Hey』インタビュー

超特急が新曲「Hey Hey Hey」を通じて目指す先「進化したパフォーマンスを見せられるように」

「センター盤の曲はこれまでやってきたそれぞれの路線を昇華させたもの」(カイ)

ーーカップリングの「Drawイッパツ!」もありますが、今回は各メンバーのセンター盤を楽しみにされている8号車も多いと思うんです。楽曲はそれぞれご自身で決めたんですか?

カイ:いえ、スタッフさんのセンスで決めてもらいました。チョイスした理由として“この曲が似合う”のか、チャレンジとして“こういう曲をやってほしい”のかはわからないんですけど。

ーーアルバム『Dramatic Seven』でも各メンバーのモチーフ曲があったと思うんですけど、あれと同じような位置づけの曲なんでしょうか?

カイ:あれとはまたちょっと違うんです。『Dramatic Seven』でのモチーフ曲はすべて“愛”をテーマにしていて、それぞれ違った形の“愛”をメンバーそれぞれのイメージに当てはめた楽曲がある感じだったんですよ。作品を木にたとえると、『Dramatic Seven』はアルバムの世界観という幹に“愛”という枝があって、そこからメンバーそれぞれの枝に分かれている感じ。今回はそれぞれ別の木が6本生えているみたいな感じで、世界観も全部違います。

ーーなるほど。ではお一人ずつのセンター盤について聞いていきたいです。まずカイさんの「Before Dawn」のお話から。

カイ:これはですね、超特急のこれまでの曲の中でもダントツでセクシーな曲で。サウンドにもなまめかしさがありますけど、「We Can Do It!」とか「LIBIDO」みたいな直接的な表現じゃないのが、逆にリアルなんですよね。

カイ

ーー「Hey Hey Hey」とは違う大人っぽさがあって。

カイ:そうですよね。ライブでも置きどころによって雰囲気を一気に変えられるような曲だなと思うので……センター盤の楽曲はどれもまだ振りがついてなくて、みんなにいつ披露できるのかはまだわからないですけど、すごく楽しみではあります。

ーーカイさんのラップがまたクールで……。

タカシ:けっこう言われるんですけど、あのラップ、僕なんですよ。

カイ:タカシっぽくない低さなんですよね。いつものタカシのラップより2音くらい低いよね? そういうところも含めて、今までにない感じの楽曲にはなってると思います。

ーーそうなんですね!? 続いてリョウガさんの「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」。ボカロっぽいこの曲を人力で歌いこなすタカシさんのすごさを改めて思い知るような出来ですが。

リョウガ

タカシ:初音ミクに任せればいいような曲を、あえて人力で表現してます。

リョウガ:まずはタカシに拍手ですよね。オタクも今は十分生きやすくなりましたが、生きづらい世の中に対して自分がオタクの立場から主張するというイメージの楽曲です。初めて書いていただいた方なのですが、ホントに僕的にもすごく愛着が湧く歌詞なんです。曲調もコロコロ変わっていくので聴いてるだけでカロリーを消費するような感じがありますけども。

ーーまるでリョウガさんが書かれたかのような世界観ですよね。間奏の演説みたいな部分でリョウガさんも参加されていて。

リョウガ:あそこはメンバー全員で参加してるんですけど、収録のときには一発で終わっちゃったんですよ。最初の一発目に全てを注ぎ込んだ感じで、個人的にはレコーディングもすごく楽しくできました。ライブで披露する暁には生演説するのか、音声はオケで何かパフォーマンスで魅せるのか、イメージを膨らませてるところですね。

ーータクヤさんセンター盤の「Four Seasons」はポップでキラキラした感じがステキな曲ですよね。

タクヤ

タクヤ:バラードでもないしアップテンポすぎない、絶妙なラインをついてますね。王道とか正統派といってくださる方も多くて、納得できる部分もありつつ。個人的には歌詞がすごく好きなんです。春夏秋冬を歌ってる歌詞なんですけど、季節を問わず披露できるような楽曲ですし。歌詞に描かれているのが、女性をリードしていくような気質の男性なんですよね。そういうふうに8号車を引っ張っていけたらいいなと思いながら聴いてますね。相思相愛感があるようにも感じる歌詞なんですけど、出だしに〈Flash back〉って言葉が入っているので「もしかしたら過去形なのかな?」とも思える奥深さもあって。

ーーだとするとかなり意味深ですよね。

タクヤ:なので、聴く人の捉え方によって変わってくるのかも。これ、過去形だとするとすごく重たい男なんですけど(笑)、でも一途な気持ちはステキだなと思います。

ーー一方ユーキさんセンター盤の「Play Back」はグルーブ感の強い楽曲でオートチューンなんかも使っていて、中毒性がありますね。

ユーキ

ユーキ:この曲は“THEダンスナンバー”って感じですよね。〈Play back〉を繰り返してる感じとか、たしかに中毒性あるかもしれない。前半とかはウィル・アイ・アムとか、曲によるかもしれないけどThe Black Eyed Peasみたいな遊び心のある音の使い方をしつつ、間奏はダンスで魅せられそうな形でうまい具合に空間を空けて作られてるような気がして。テンポ的にライブで披露するときには、終わったあとゼェゼェいいそうな予感がむちゃくちゃしますけど。

カイ:ライブでやるときはこれ1曲だけやってはけない?(笑)

ユーキ:ホントにこれ1曲やって逃げるくらいの密度のパフォーマンスになりそうな気がする。

ーーそしてユースケさんセンター盤の「TAXI」は、バラエティに富んだこのセンター盤曲の中でもかなりかっ飛んだイメージの曲ですね。

ユースケ

ユースケ:この主人公は今の時代や世界を一人ですごく楽しんでる感じがするんですよ。で、「このタクシーに乗ったら止まらないよ」って教えてくれるようなスピード感のある楽曲に仕上がっているなと思っていて。僕的には自分らしいかと言われると、そうでもないのかな? と思っていたんですけど、みんなが「らしい」と言ってくれるので。

ーー外野から見てもすごく似合うと思います。イントロで聴きなじみのあるフレーズ(ディック・デイル&ヒズ・デルトーンズの「Misirlou」)が使われていますが。

カイ:映画の『TAXI』とか『パルプ・フィクション』で使われてるんですよね。でも僕はどっちかっていうとドラマの『ウォーターボーイズ』のイメージですけど。

ユーキ:ああ、それもわかる!

ユースケ:みなさんが一度は耳にしているキャッチーな要素のある曲なので、振付もできればキャッチーなものにしたいです。この曲を聴くとね、ハットをかぶってマイクスタンドを使ったり、ちょっと渋くてゴージャスなイメージが浮かんでくるんですよ。でもかっこいいとこもありつつダサいとこもあるのが超特急らしさだと僕は思っているので、その雰囲気をパフォーマンスに詰め込めたらと思います。

ーーらしさ満点のパフォーマンス、期待してます。タカシさんセンター盤の「小さな光」はきれいなバラードですね。

タカシ

タカシ:形としてはバラードなんですけど、ルーツ的にはブラックミュージック、R&Bとかそっち系のサウンドじゃないかと思っていて。J-POPというよりも洋楽寄りな感じなので、こういう曲を歌うというのはまた新しい試みでした。またこれまでとは違う自分で、曲の世界観を作ったり、レコーディングでも歌に向き合えたと思います。

ーーシンプルで音数が少ない曲なので、聴いてまた一段とタカシさんの歌が進化したんだと感じました。

タカシ:シンプルな曲だからこそ発音だったり、言葉の出し方をよりいっそう大事にしようと思ったんですよね。あと、ほかの楽曲って基本的には頭から順番にAメロ、Bメロ……と録っていくんですよ。でもこの曲は一連でぱっと録って、歌の中でのストーリー性を大事にしました。映像でいうとワンカットみたいな。

ーー歌詞もざっくりいうと応援歌ですけど、言葉のチョイスがすごくリアルなんですよね。

タカシ:ただ「大丈夫だよ、応援してるよ」って背中を押すばかりではなくて、人間特有の弱さが表れているのが、すごく自分自身にリンクする部分もあったりして……。なので聴く人によっては、より共感してくれる方もいるんじゃないかなと思います。自分のやりたいことはわかっているけど、そこへと進む一歩が踏み出せなくて、葛藤しちゃうような方に聴いてもらえると、まさに「小さな光」が差して、その人の心に響く楽曲になるんじゃないかな。

ーー曲は他薦ということですけど、それぞれのキャラクターにぴったりな曲ばかりですよね。

カイ:今までいろんな曲をやってきて、たとえば「超えてアバンチュール」みたいな振り切った感じの曲もあれば、「Billion Beats」みたいな感動的な感じの曲もあって。王道系とかセクシー系みたいに系統で分けられると思うんですけど、今回のセンター盤の曲はこれまでやってきたそれぞれの路線をより昇華させたものという感じがするんですよ。今の僕らが行ける、MAXまで振り切った感じ。

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