THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説

 4月17日のリリース日を前にその全貌を現しつつある、THE YELLOW MONKEYにとって19年ぶりのオリジナルアルバム『9999』。2016年の再集結から3年間にわたる活動の集大成とも言えるこのアルバムは、本編もさることながら、初回生産限定盤の付属DVD内容やダウンロード版の特典の豪華さにも注目が寄せられている。単純にアルバム特典として片付けるには正直勿体ないくらい貴重なアイテムの数々は、この久しぶりのオリジナルアルバム『9999』にどのような意味をもたらすのだろう。

 まず、初回生産限定盤の付属DVDには「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」と題した、再集結以降に行われたライブからの選りすぐりライブ映像10曲を収録。再集結後最初のライブとなった2016年5月11日の国立代々木競技場 第一体育館から、昨年12月28日に日本武道館で行われた『メカラ ウロコ・29 -FINAL-』までの貴重なライブ映像が時系列順に収められ、最後に2015年8月某日、都内スタジオでのセッション映像が置かれるというファン垂涎モノのアイテムだ。

 これ単体でも発売できるぐらいの内容となったこのDVDを制作した経緯について、再集結後のTHE YELLOW MONKEYを支えるスタッフは「アルバム特典をどうするか考えたとき、一昨年のドーム公演や昨年末の武道館公演などまるまる1公演の映像を入れることも可能でしたが、新しいアルバムと紐づいていないような気がして。それなら、再集結からアルバムが完成するまでの流れが見えるものがいいのではないかということで、こういう構成になりました」と語る。

THE YELLOW MONKEY – SELECTION of THE YELLOW MONKEY ダイジェスト映像 ("9999" 初回生産限定盤収録)

 選出された楽曲や会場についてもこだわりがあり、例えば代々木での「楽園」はライブ2曲目に演奏されたもので、オープニングナンバー「プライマル。」は終盤までステージが紗幕で覆われた状態だったことから、2曲目の「楽園」でメンバーが初めて表舞台にさらされて演奏した思い出深い1曲なのだ。これについても「メンバーも実質これが1曲目みたいな感覚で臨んだところもありましたから。なので、よく観るとメンバーの表情も緊張した『プライマル。』とは全然違っていて、少し和んでいますよね」と説明。その他の選曲についても「例えば『熱帯夜』は福島と熊本でしか演奏していませんし、しかもライブの1曲目でしたから。東京ドームの『ALRIGHT』はあの日一番の見せ場となった瞬間が収められている曲ですし、ヤフオクドームの『追憶のマーメイド』も22年ぶりにとうとう演奏された人気曲とあって、代々木の『プライマル。』並みの歓声でしたしね」と、それぞれのライブの中でキモになる特別な1曲ばかりだという。

 最新のライブ映像となった昨年末の「天道虫」までは時系列に沿っているものの、なぜ最後に再集結発表前の、久しぶりに4人で演奏した「Subjective Late Show」のセッション映像を収めたのだろう。これは「最初こそ時間軸に沿って頭に置いていたんですけど、CDでニューアルバムを聴いたあとにこのDVDを続けて観たときに、『やっぱりライブもいいよね』と思ってもらい、最後の最後に『実は最初はこうだったんだよ』というのを見てもらいたい、とメンバーも言ってました(笑)」と教えてくれた。

 筆者としては、逆にこのDVDから先に観たとしても、アルバムへと向かう過程でバンドとしての筋肉がどんどん付いていき、グルーヴ感が強まっていくことも伺い知れ、なぜこの新作が生まれたのかを深く理解することができるのではと感じている。その3年の流れは、ひとつのバンドが新たに生まれ最初のアルバムへと到達する記録そのものである。そして、DVDには「STORY of THE YELLOW MONKEY (another STORY)」と題したドキュメンタリー映像も収録。こちらはYouTube番組「STORY of THE YELLOW MONKEY」の未公開映像を含む、アルバム制作期間に特化した編集となっており、「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」と併せて観ることで『9999』という作品の魅力をさらに知ることができるし、再集結後のTHE YELLOW MONKEYをより深く理解する上での貴重な副読本的な役割を果たしてくれるのだ。

CD初回生産限定盤

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