星野源、『FNS歌謡祭』で新曲「Pop Virus」をテレビ初披露 「アイデア」との共通点を考える

 また、全体的にR&Bの要素を強めた同曲は、昨今のシングル曲に感じられる歌謡曲に則ったような“星野源メロディ”とは一線を画している。前作アルバム『YELLOW DANCER』を聴いた際に心が躍ったのは、シングル曲には無い新たな星野の一面が見えたからだったことを思い出した。

 「Family Song」や「恋」のような不特定多数に向けられた楽曲とは対照的に、「アイデア」と「Pop Virus」では自身の内にある“翳り”が取り入れられている。星野楽曲特有のポジティブさは維持されているものの、それによってより一層“翳り”を浮き彫りにさせているように聴こえてくる。『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、2017年はとても苦しい1年であったことを明言していていた星野。「アイデア」や「Pop Virus」は、彼自身がギリギリの状態であったからこそ生まれた作品なのだろう。両曲にはそうした危うさが漂っていて、だからこそ目が離せないし深追いしてしまうのだ。

(文=北村奈都樹)

関連記事