超特急、いよいよグループの“黄金時代”へ 歌とダンスで魅せたさいたまスーパーアリーナ公演

超特急、さいたまスーパーアリーナ公演レポ

 中盤のMCでは8号車の必須アイテムであるペンライト消灯のお願いがあり、ここからはタクヤプロデュースのモノトーンの衣装へとチェンジ。初期ナンバーの中でもしっとりとした「FLASHBACK」のあと、ステージにはこれまでになく真剣な表情でピアノに向かうリョウガの姿が。やわらかなタッチで奏でるその伴奏とともにタカシが歌い上げたのは、最新作収録のバラード「霖雨」(ピアノVer)だ。この曲が持つ、どうあがいてもぬぐえないほどの深い喪失感は、明るい曲の多い超特急作品の中でも異質といえるが、その世界を音源の何倍もエモーショナルなものにしたのはタカシの泣きの歌声だった。狂おしいほどに情熱的な「need you」やファルセットを多用した「Fashion」での歌唱などもそうだが、歌いながらメインダンサーたちとユニゾンで踊るシーンが多かったにも関わらず、ライブ後半になっても衰えることのなかった声量など、彼の2018年の成長ぶりとさらなるのびしろを感じさせる一幕だった。

 ペンライトが消え静まり返った空間から一転して、次の「a kind of love」ではリョウガがお得意の変顔を繰り出すなど、明るく視界が開けるようなパフォーマンスでギャップを見せた彼ら。8号車たちもペンライトをくるくる回すおなじみのスタイルで、その振り切ったパフォーマンスに応戦。メンバーと8号車が一斉にクロスサインを繰り出す「Burn!」などハイテンションなナンバーが連投される中、本編ラストに据えられたのは同ツアーのテーマ曲「Time of GOLD」だ。ステージと客席との一体感を強めるようなシンプルな振りで盛り上がるバックには、各メンバーカラーのカラフルな特効が80連発で散りばめられ、本編を華やかに締めくくった。

 アンコールで「You know,I know」など2018年発表楽曲に混じって披露されたのは、グループのテーマ曲的な顔を持つ「走れ!!!!!超特急」(2013年発表)。メンバー全員が“連結”しながら、客席にも「隣の人と一緒に!」と連結をうながす流れが定番であり、“変わっても、変わらないもの”を強く感じさせる同曲。聴いていて、この日花道を歩きながらふざけ合い、トロッコがすれ違うたびにじゃれ合う、6人の強い結びつきを感じさせる一連のシーンが一気にフラッシュバックした。

 Wアンコールでこの日のラストを飾ったのは、この日が初披露となるユースケ作詞・作曲の「超特急です!!!!!!!!」。戦隊風の登場シーンにも笑ってしまったが、少し前までしっとりと大人なムードを漂わせていたメンバー全員が、声がかすれるレベルで〈紅白出たいよ!〉〈Mステ出たいよ!〉の歌詞を絶叫し、やはり熱く〈超特急です!!!!!!!!〉コールで応える8号車、という図が最高にクレイジーに写った。

 
カイ
 
 
 
リョウガ
 
タカシ
タクヤ
ユーキ
ユースケ
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カイ
 
 
 
リョウガ
 
タカシ
タクヤ
ユーキ
ユースケ
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 まだツアーの大阪公演が残っているが、この日を振り返ると、冒頭の巨大スロープなど華やかな仕掛けはあったものの、6人のダンスと歌に特化して現在の彼らが持てる魅力を最大限に引き出していこうという演出意図を感じた。囲み取材の際に、今年一年を漢字で表すと? という質問に「(化ける、変化などの)“化”ですね。今年初めに6人体制になるという意味でも変わりましたし、勢い落とさずにむしろ速度を上げて活動してきて、これから黄金時代に突入しよう!という流れなので、いい意味で他のアーティストの方とかぶらない化け方をしていきたい」(リョウガ)と答えていた彼ら。この日はドラマタイアップの新曲「ソレイユ」(テレビ東京ドラマ24『フルーツ宅配便』エンディングテーマ)、そして約10万人を動員する全国ホールツアー『BULLET TRAIN SPRING/SUMMER TOUR 2019「EUPHORIA~Breakthrough, The Six Brave Stars~」』開催といったニュースも発表されたが、アーティストとしての振り幅を大きく広げた2018年に続き、2019年にはついに憧れの東京ドームについに王手をかけるのか? 引き続き注目したい。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

(写真=米山三郎/深野照美/冨田望/山下陽子)

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