ジャニーズとハロプロ、グループ/ユニット名の特徴は? 独特のセンスから考える両者のスタンス

 一方ハロプロのグループ/ユニット名はと言うと、出発点であるモーニング娘。からすでにユニークなネーミングだ。「モーニング」には「喫茶店のモーニングセットのように色々付いてくる盛り沢山なお得感」という意味合いがあり、女性アイドルグループ名の発想としては意表を突いている。

 ただ「娘」のほうは「ガールズ」の和訳ととらえればオーソドックス。さらに「娘」というワードは南沙織、天地真理、小柳ルミ子の「新三人娘」なども連想させ、どこか懐かしい昭和感もある。ハロプロらしく、いい意味でダサさがある。

 この「娘」パターンはココナッツ娘。やカントリー娘。(カントリー・ガールズ)にも継承され、ハロプロののれん分け的な老舗感をいやがうえにも強めている。Berryz工房からこぶしファクトリー、つばきファクトリーへ至る流れも同様だ。

 とはいえ、つんく♂の一流の造語感覚も見逃せない。ごまっとうのようなたのきん的頭文字型もあるが、太陽とシスコムーンやメロン記念日はなかなかだし、アンジュルムの旧名であるスマイレージ(S/mileage)の「スマイル」「マイレージ」「エイジ」を絡める手際も鮮やかだ。また複数形を「Berries」ではなく「Berryz」に、「Cute」の「C」を「℃」にして「℃-ute」と表記する、はたまたJuice=Juiceの単語の繰り返しなどは、どれも最初は違和感があっても慣れると愛着が沸いてくる絶妙の匙加減だ。

 おそらく、こうした独特なセンスの根底には、アイドルというものに対するつんく♂のやや距離を置いたようなスタンスがある。本人も言っているように、彼自身はあくまで歌手を育てようとしたのであって、ステレオタイプなアイドルをつくろうとしたわけではなかった。だからグループ名やユニット名もアイドルっぽいものにとらわれず、発想の飛躍が可能だったように見える。

 同じことはジャニーズにも言えるだろう。ジャニー喜多川も、最初からアイドルをつくろうとしたわけではない。あくまでオリジナルミュージカルが最終目標で、そのために育てたタレントが結果的にアイドルと呼ばれるようになった。グループ名やユニット名を付けるにあたっても、ジャニー喜多川の頭のなかにはあまりアイドルらしさという考えはないのではないか。

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