ビッケブランカ『けもなれ』、宇多田ヒカル『花晴れ』……2018年、高まる“ドラマ挿入歌”の存在感
MONDO GROSSO
吉岡里帆の初主演ドラマ『きみが心に棲みついた』の挿入歌「偽りのシンパシー」は、MONDO GROSSOがゲストボーカルにBiSHのアイナ・ジ・エンドを招いて制作された楽曲。ドラマ放送時までゲストボーカルが伏せられていたため、当初は吉岡里帆がマイクを握るのではという世間の予想もあったが、結果的に予想外のコラボで双方のファンが驚きの声をあげた。
『きみが心に棲みついた』は、小川今日子(吉岡里帆)と吉崎幸次郎(桐谷健太)、星名漣(向井理)との三角関係の模様を描いたラブストーリー。真っ直ぐな吉崎と冷酷な一面を持つ星名、対極的な二人の間で揺れ動く今日子の愛憎劇は様々な波紋を呼んだ。クラブミュージック×恋愛ドラマは珍しい組み合わせと言えるが、妖しさを孕んだラブストーリーに「偽りのシンパシー」の妖艶な曲調がマッチしており、印象的なハスキーボイスからアイナ・ジ・エンドのことを知った視聴者も多かっただろう。
サンボマスター
映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』の9年後を舞台に、土屋太鳳主演で制作されたドラマ『チア☆ダン』。チアリーディングを題材にしたドラマなだけあって、劇中にはThe Buggles「Video Killed the Radio Star」、BTS (防弾少年団)「MIC Drop -Japanese ver.-」、THE BLUE HEARTS「人にやさしく」といった国内外の楽曲が複数使用された。その中でもとりわけ話題を集めたのがサンボマスターの「できっこないを やらなくちゃ」だ。
福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部・JETSが、2009年に全米チアダンス選手権大会で優勝した実話を元にした本作。JETSが創部初期から「できっこないを やらなくちゃ」で踊り続けていた縁もあり、サンボマスターが主題歌「輝きだして走ってく」を提供することが決まり、さらに「できっこないを やらなくちゃ」も挿入歌として複数回フィーチャーされた。
サンボマスターだからこそ伝えられるストレートで心が震えるようなメッセージ。〈あきらめないで どんな時も 君なら出来るんだ どんな事も〉と、熱く背中を押してくれるような前向きなフレーズは、「打倒JETS」を掲げたチアダンス部・ROKETSが逆境を乗り越えながら全国制覇に向けて成長していく姿とシンクロするものがあり、同時に視聴者の胸を熱くし勇気付けた。
m-flo
『PRINCE OF LEGEND』は、映画、ドラマ、ゲーム、ライブ、イベントでの展開が告知されているメディアミックス作品。同作のエグゼクティブプロデューサーはEXILE HIROが務め、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、鈴木伸之(劇団EXILE)を筆頭に、EXILE TRIBEの面々が出演している。
日本テレビ系で放送中のドラマでは、片寄が所属するTeam奏や鈴木が所属するTeam京極兄弟をはじめ、Team生徒会、Teamネクストといったチームが7つ(+成瀬果音)存在しており、それぞれ1980年代の洋楽ヒットナンバーをカバーしたチーム曲が挿入歌として使用されている。
音楽のプロデュースは、同作の主題歌を務めるm-floが担当しており、80’s楽曲を現行の音楽シーンにフィットする形にアップデート。Team奏の「PSYCHIC MAGIC」(G.I.ORANGE)、Team京極兄弟の「Take On Me」(a-ha)、「Too Shy」(Kajagoogoo)など、いわゆるニューウェーブ/ニューロマンティック系のバンドが並んでおり、いずれもビジュアル面含めアイドル要素を持ったバンドとなるため、今作の“個性豊かな王子が大渋滞!”というコンセプトにも通ずるものがあるのではないだろうか。
作品全体のテーマを表現する主題歌とは異なり、劇中で流れる挿入歌はドラマのワンシーンと化学反応を起こすことで、楽曲/映像単体では出せないインパクトを視聴者に与えることができる。今後は主題歌とあわせて、挿入歌にもより一層注目が集まっていきそうだ。
(文=泉夏音)
■配信情報
「まっしろ」配信は以下より
日本テレビ系 水曜ドラマ『獣になれない私たち』挿入歌
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