『堂本剛の素』第6回「親友と行く 箱根ふたり旅」後編
KinKi Kids 堂本剛の“素”は脳みその外にある 『堂本剛の素』が示したアーティストとしての本質
しかし、剛は30歳辺りから「もう自分の思ってることしながら生きていこう」と思い、決めつけの呪縛が解けたという。そして、次第に「仲間」と呼べる人たちにたくさん出会えたのだとか。その一人が川原である。「どんな人と恋愛しても、影響されない人は多分合わないと思うんです」と話していた剛。それは恋愛に限らず、友情もまた然りなのだろう。“脳みその外”というワードもそもそもは川原が言い出した言葉である。剛は川原から影響され、川原もまた剛から影響される。互いが互いに影響され合うことで、さらなる成長と充実へと繋がっているのではないだろうか。
同番組の最後に剛は、約30本のマイクスタンドに囲まれながら、「それではみなさん、またどこかでお会いしましょう。それでは、サヨナラ!」と挨拶するも、「……サヨナラ! で終わると思うんですけどね、終わらないというやり方も僕は持ってるんですよ」と笑う。そして「脳みその外でね、みなさんぜひ生きてください。脳みその中で生きる必要ないですから」となんとも剛らしいコメントを寄せて、締めくくった。
私たちは、わからなければわからない物事ほど、気になって仕方ない。わからないからこそ、知りたくなる。興味を持つ。好奇心が刺激される。わかりたいと思う。調べて、考えて、答えを見つけようと必死になる。脳みその中で検索しても答えが導き出せないものが、本当の意味で“わからないもの”なのかもしれない。つまり、それは脳みその外で感じないと掴めないこと。そう考えると、脳みその外側は内側よりも圧倒的に広く、可能性も無限に広がっているように感じる。その可能性を剛は今後、エンターテインメントとしてどう表現していってくれるのだろうか。きっと“わからない何か”を生み出していってくれるはず。
『堂本剛の素』を全6回観ても、結局剛の頭の中はわからなかった。というよりも、知れば知るほどわからなくなっていく。その“わからなさ”こそが、“堂本剛の素”の正体なのかもしれない。そんな脳みそで考えてもわからない剛だからこそ、妙に癖になってしまう。
(文=朝陽空)